ログインがループしたり、決済画面が進まなかったり、A/Bテストのバナーが消えなかったり——
こうした現象の裏側で鍵を握るのがCookieです。
本記事はCookieの確認手順・見方・編集/削除の作法・セキュリティ属性の読み解きを、Google Chromeのデベロッパーツール(DevTools)中心に深掘り解説します。
関連で聞かれやすい以下の質問にも答えます。
- ChromeのデベロッパーツールでCookieを確認する方法は?
- ChromeでCookieを確認するツールは?
- 開発者ツールでCookieを確認するには?
- Google Chromeのクッキーの確認方法は?
少しでもご参考になれば幸いです!
Contents
まずは結論(最短チェック)

- 最短の確認手順:
①対象サイトを開く
→ ②DevToolsを開く(Windows/Linux:F12またはCtrl+Shift+I、macOS:⌥⌘I)
→ ③上部タブApplication(新UIではStorage表記の場合あり)
→ ④左ペインCookies
→ ⑤対象ドメインを選択。 - 見るポイント:Name / Value / Domain / Path / Expires / HttpOnly / Secure / SameSite。
- 編集/削除:表のセルをダブルクリックで編集、Deleteキーで削除、または右クリックメニュー。
- Networkパネルでもリクエスト/レスポンス単位のCookiesを確認可能(Request Cookies / Response Cookies / 3rd-partyの有無)。
- 安全運用:Cookieはサイト単位で必要最小限に削除、サードパーティ制御や例外登録で利便性を保ちつつトラブルを解消。
Cookieの基本とDevToolsで見る理由
Cookieは、サイトごとに小さなテキスト情報(ログイン状態・表示設定・トラッキング同意・カートの中身など)を保存する仕組みです。
DevToolsを使うと、ブラウザが実際に保持しているCookieの一覧がドメインごとに見え、属性(Secure/SameSite/HttpOnly…)や有効期限まで正確に確認できます。
UIから「それらしく」設定しても、現場では“実際に何がブラウザに入っているか”が最重要なので、DevToolsが基本ツールになります。
図解イメージ:
Application/Storageパネル左に「Cookies」ツリー、右に表形式で各Cookieの行。
Nameは「箱のラベル」、Valueは「中身」、属性列は「扱いのルール」。)
ChromeのデベロッパーツールでCookieを確認する方法(王道)

手順(共通)
- 対象サイトを表示
- DevToolsを開く
- Windows/Linux:F12 または Ctrl + Shift + I
- macOS:⌥ + ⌘ + I
- 上部タブのApplication(一部のバージョンや設定ではStorage)を選択
- 左ペインのCookiesを展開 → 対象のドメインをクリック
- 右側に**表(グリッド)**でCookie一覧が表示
- 列で詳細を確認:Name / Value / Domain / Path / Expires/Max-Age / Size / HttpOnly / Secure / SameSite / Priority など
代表的な列の読み方(要点表)
列 | 見る理由 | 例と解釈のコツ |
---|---|---|
Name | 何のCookieか識別する要。 | sessionid 、csrftoken 、__Host-* 、__Secure-* など命名規則に意味がある場合あり。 |
Value | 実データ。セッションIDなどが入る。 | セキュリティの都合で実運用では秘匿。第三者に共有しない。 |
Domain | どのドメインに適用か。 | example.com /.example.com (サブドメイン可)。**第三者(3rd-party)**有無の判定にも。 |
Path | 適用パス。 | / ならサイト全体。 |
Expires/Max-Age | 期限。 | セッションCookieは期限なし(ブラウザ閉じると無効)。長期は追跡/利便性のバランスに注意。 |
HttpOnly | JSから参照不可。XSS対策。 | Trueならdocument.cookie では見えない。DevToolsなら見える。 |
Secure | HTTPSのみ送信。 | SameSite=None のCookieはSecure必須。 |
SameSite | 送信コンテキスト制御。 | 既定はLax。交差サイト(SameSite=None)は厳しめに扱われる潮流。 |
Priority | 競合時の優先度。 | High/Medium/Low 。容量超過時の振る舞いに関与。 |
ヒント:
__Host-
/__Secure-
というプレフィックスが付くCookieはセキュリティ要件が強化されています(例:__Host-
はSecure
かつPath=/
かつDomain
なし等)。挙動の検証時に手掛かりになります。
Cookieを編集・削除する(安全なやり方)
- 編集:表の該当セル(Valueなど)をダブルクリック → 値を変更 → Enterで確定。
- 削除:行を選んでDeleteキー、または右クリック → Delete。
- 一括削除:ドメインを選択した状態で右クリック → 「Clear」(またはClear storage機能を併用)。
- 再読込:変更後はページをリロードして挙動を確認。
注意
- 運用本番のサイトでは、誤削除でログアウトやカート空など影響が出ます。検証用プロファイルやステージング環境で試すのが安全。
- HttpOnlyはJSから触れませんが、DevToolsでは閲覧/編集が可能です。取り扱いは慎重に。
- 値の共有は厳禁(セッション乗っ取りリスク)。
NetworkパネルでCookieを確認する(リクエスト/レスポンス単位)

Networkタブでは、個々の通信でどのCookieが送受信されたかを確認できます。
- Networkを開く → 対象のリクエストをクリック
- パネル内のCookiesタブ(またはHeaders → Request Headers / Response Headersの
Cookie
/Set-Cookie
)を表示 - Request Cookies(ブラウザ→サーバへ送信)とResponse Cookies(サーバ→ブラウザ設定)の差分を把握
- 第三者(3rd-party)Cookieが送受信されているか(他ドメインの
Set-Cookie
)も把握可能
図解イメージ:
Network内リクエスト詳細のタブにCookiesがあり、上段がRequest、下段がResponse。
隣のHeadersにはSet-Cookie
が整形されて並ぶ。
活用例:
- ログインループ:
Set-Cookie
が返っているか/属性(SameSite=None; Secure
など)が適正か。- 外部IDプロバイダ(SSO):クロスサイトの
Set-Cookie
がブロックされていないか。- A/Bテスト:実験割当のCookieがRequestに正しく乗っているか。
目的別:Cookie確認のショートカット&導線
目的 | 操作 |
---|---|
すぐにCookie一覧を見たい | DevTools → Application/Storage → Cookies |
通信ごとに送受信を追いたい | DevTools → Network →(リクエスト)→ Cookies |
現在のサイトだけ消したい | アドレスバーのサイト情報(錠/コントロール) → サイトの設定 → Cookie/またはDevToolsで該当ドメインをClear |
サードパーティを抑えたい | 設定 → プライバシーとセキュリティ → Cookie と他のサイトデータ → サードパーティ制御+例外サイト登録 |
プロファイルを分けたい | プロファイルメニューから業務/私用/検証を分離(Cookie衝突を回避) |
よくある詰まりと解決の型(トラブルシュート)

- ケース1:ログインが無限ループ
- Networkで
Set-Cookie
の属性確認(SameSite=None; Secure
、Domain/Path
の整合性、期限など)。 - Application/Storageで該当Cookieを一度削除→再ログイン。
- サードパーティCookie制御やITP/トラッキング保護の影響を疑い、例外サイト登録で回避。
- Networkで
- ケース2:特定のウィジェットだけ動作しない
- そのウィジェットのドメインのCookieが3rd-party扱いでブロックされていないかをNetworkで確認。
- 必要なドメインを例外登録し、Application/Storageで当該Cookieを再取得させる。
- ケース3:カートが勝手に空になる
- Expires/Max-Ageが極端に短くないか/サブドメイン跨ぎの
Domain
指定が適正か。 - Pathが狭すぎて別URLで参照できていない可能性も検討。
- Expires/Max-Ageが極端に短くないか/サブドメイン跨ぎの
- ケース4:SameSiteの理解不足で実装が迷子
- 既定はLax。他サイトコンテキストで必ず送信したい場合は**
SameSite=None; Secure
が必須**。 - セキュリティと要件のバランス設計を。
- 既定はLax。他サイトコンテキストで必ず送信したい場合は**
- ケース5:検証の度に状態が変わる
- シークレットウィンドウはCookieがセッション限定。検証環境では通常ウィンドウとシークレットを使い分け、状態管理を明確に。
セキュリティ属性をCookieから読み解く(実務の目)
- HttpOnly:XSSからセッション窃取されにくくする基本。True推奨(JSから読めない)。
- Secure:HTTPS通信のみで送信。
SameSite=None
とセットで必須。 - SameSite:クロスサイト送信の可否。既定Lax、Noneは慎重に。
__Host-
/__Secure-
:命名規則で誤設定を防ぐ。__Host-
は**Domain
指定不可**・Path=/
必須・Secure
必須。- 有効期限:長期化は便利だがリスクも増える。短期+リフレッシュ設計も検討。
図解イメージ:Cookieの「名札」に緑の鍵(Secure)、盾(HttpOnly)、矢印の向き(SameSite)などの“バッジ”が付いていて、通信の場面ごとに送る/送らないを自動で判断している。
よくある質問

Q. ChromeのデベロッパーツールでCookieを確認する方法は?
A. 対象サイトを開き、DevTools → Application(またはStorage)→ Cookies → ドメイン選択で一覧表示。
Networkでもリクエスト/レスポンス単位のCookieを確認できます。
Q. ChromeでCookieを確認するツールは?
A. Chrome標準のDevToolsが最も確実です。Application/StorageとNetworkの2視点を使い分けると、保持状態と通信実態が両方わかります。
Q. 開発者ツールでCookieを確認するには?
A. F12(⌥⌘I)→ Application/Storage → Cookies。
値の編集・個別削除・一括削除が可能。
HttpOnlyはJSからは読めませんがDevToolsでは閲覧可です。
Q. Google Chromeのクッキーの確認方法は?
A. DevToolsが基本。
併せて、設定 → プライバシーとセキュリティ → Cookie と他のサイトデータから全体ポリシー(サードパーティ制御・例外登録)を確認するとトラブルシュートが速くなります。
実務で効くチェックリスト(保存版)
- Application/Storage → Cookiesで保持中のCookieを確認
- Network → Cookiesで送受信の有無・属性を確認
- SameSite/Secure/HttpOnlyの基本ポリシーを理解
- サードパーティCookie制御と例外サイト登録で必要十分の許可に
- 直らない時は該当ドメインのCookieをいったん削除→再取得
- 検証用プロファイル/シークレットを使い分け、状態汚染を避ける
まとめ(要点整理+ひとこと)
- CookieはDevToolsで“実物”を見るのが最短。Application/Storageで保持、Networkで送受信を可視化。
- 編集/削除は簡単だが、本番環境では慎重に。まずは検証用プロファイルで。
- **属性(Secure/HttpOnly/SameSite)**の理解が、ログインループやSSO不調の原因特定に直結。
- サードパーティ制御+例外登録で安全と利便のバランスを取る。
ひとことアドバイス:
困ったら**「Applicationで保持を確認 → Networkで送受信を確認 → 属性を見直し → 必要ならサイト単位で削除」**の順に進めると、解決までの道のりが最短になります。
参考リンク
- Chrome ヘルプ:Cookie の削除・許可・管理
- Chrome DevTools ドキュメント:Application/Storage パネルの Cookies
- Chrome DevTools ドキュメント:Network での Cookies の確認
- Chrome ヘルプ:サイトのアクセス許可(Cookie など)
- Chrome ヘルプ:シークレットモード(閲覧データの扱い)