2025年8月、Adobe InDesignの最新アップデート(バージョン20.5)が配信されました。
セキュリティ脆弱性への対応や複数のバグ修正が含まれていますが、一部ユーザーからは動作が極端に遅くなる、クラッシュが頻発する、プラグインが使えなくなるなどの報告も出ています。
この記事では、実際に確認された不具合と改善策をわかりやすく整理し、さらに最新バージョンの確認方法や互換性の注意点もご紹介します。
Contents
最新バージョンと概要

- 最新バージョン:InDesign 20.5(2025年7月リリース)
- セキュリティ対応:2025年8月12日に複数の脆弱性(CVE-2025-54206〜54210)を修正
- 更新方法:
- Creative Cloud デスクトップアプリを起動
- 「アプリ」タブでInDesignを探す
- 「アップデート」をクリック
公式リリースノート
InDesign リリースノート
修正済み不具合一覧
セキュリティ情報 APSB25-79
主な不具合と改善策
1. 動作が極端に遅くなる(スタッター・ラグ)
原因の可能性
- GPUレンダリング設定との相性
- 不要なフォントやリンクファイルの読み込み負荷
- プリファレンスファイルの破損
改善策
- GPUパフォーマンスを無効化
- メニューから「編集」>「環境設定」>「GPUパフォーマンス」を選び、チェックを外す
- フォントキャッシュをクリア
- macOS:
~/Library/Caches/Adobe/TypeSupport
を削除 - Windows:
%AppData%\Adobe\TypeSupport
を削除
- macOS:
- リンクファイルを軽量化
- 高解像度画像は事前に圧縮
- プリファレンスを初期化
- InDesign起動時に Ctrl+Alt+Shift(Windows)/Cmd+Option+Shift(Mac) を押し続ける
2. 起動時または作業中にクラッシュする
原因の可能性
- プラグインとの競合
- 一部の操作(ページ削除・EPUB書き出し等)で発生する既知のバグ
改善策
- プラグインを一時的に無効化
- InDesignを終了し、プラグインフォルダの中身を別の場所へ移動
- IDML形式で保存し直す
- ファイル>別名で保存>形式を「InDesign Markup(.idml)」に変更
- 最新パッチを適用
- Creative Cloudからアップデートを実施

3. オブジェクト選択時の遅延
原因の可能性
- macOSでの描画処理不具合(20.5で一部修正済み)
改善策
- 「環境設定」>「表示パフォーマンス」でプレビュー設定を「高速表示」に変更
- 必要であれば、GPUパフォーマンスをオフにする
4. OpenTypeフォント表示の不具合
原因の可能性
- World-Ready Composer利用時のレンダリング不具合
改善策
- 「段落」パネルの設定を一時的に標準Composerに戻す
- OpenType機能(上付き文字・分数など)を再適用
5. プラグインが動作しない
原因の可能性
- アップデート後のAPI変更により互換性が失われるケース
改善策
- プラグインの公式サイトで対応バージョンを確認
- 対応アップデートがない場合は、旧バージョンのInDesignを再インストールして暫定対応
- Creative Cloudデスクトップアプリから「以前のバージョンをインストール」を選択
6. EPUBやSVG書き出し時の不具合
原因の可能性
- 書き出し設定ファイルの破損
- 特定のリンクファイル形式との相性
改善策
- EPUBプリセットを再作成
- 画像やSVGを一旦PNG/JPGに変換して再リンク
InDesignのバージョン確認方法
- InDesignを起動
- メニューの「ヘルプ」>「InDesignについて」をクリック
- ダイアログにバージョン番号(例:20.5)が表示される
バージョン互換性について
- 新しいバージョンで作成したファイルは古いバージョンで開けないことがある
- 下位互換が必要な場合は IDML形式で保存 して共有するのが安全
まとめ

- 最新バージョンは 20.5(2025年7月リリース)、8月12日に重大脆弱性修正パッチあり
- 主な不具合は動作遅延・クラッシュ・選択遅延・プラグイン互換性問題など
- 改善策は GPU設定変更・プリファレンス初期化・IDML保存・旧バージョン利用 などが有効
- ファイル共有時はIDML形式での保存を推奨
アドバイス:トラブル発生時は、まず公式「修正済み不具合」ページを確認し、該当する問題があればアップデートまたは設定変更で改善を試みましょう。