最近注目を集めている「ClickFix(クリックフィックス)攻撃」をご存じでしょうか。
これはWebサイト上で
「特定のショートカットキーを押してください」
「コピーして貼り付けて実行してください」
といった指示を表示し、ユーザー自身に危険な操作をさせる新しい手口です。
典型的なケースでは、画面の指示が表示された時点で クリップボードに悪意あるコマンドが自動的にコピーされている ため、ユーザーが言われた通りに「貼り付け」→「Enter」を押すだけで感染してしまいます。
本記事では、このClickFix攻撃の 仕組み と 具体的な対策 をわかりやすく解説します。
Contents
ClickFix攻撃とは?

ClickFix攻撃は、ユーザーの「操作」を利用するサイバー攻撃です。
従来のマルウェア感染は「怪しいファイルを開く」「不審なリンクをクリック」といった動作が中心でしたが、ClickFixは一見無害に見える 「キー操作」「コピー&ペースト」 を悪用します。
特徴
- Webページに「Ctrl+Shift+Vを押してください」などの指示が表示される
- その時点で、クリップボードに悪意あるコマンドがコピー済み
- ユーザーが貼り付けて実行すると、PowerShellやターミナルで危険なコードが走る
仕組みの流れ
- ユーザーが不審なWebページにアクセス
- ページ上で「このエラーを直すには、以下をコピーして貼り付けてください」などと表示
- すでにクリップボードに不正なコマンドがセットされている
- ユーザーがペースト(Ctrl+V)→実行するとマルウェアが動作
- 情報窃取や外部攻撃に利用される
ポイント:ユーザーが「自分の意思で操作した」ように見えるため、セキュリティソフトが検知しにくいのが厄介です。
どんな被害があるのか?
- 情報窃取
→ 保存しているID・パスワード、ブラウザのCookie、クレジットカード情報などが盗まれる - 不正アクセス
→ PCが乗っ取られ、外部から遠隔操作される - ボット化
→ 自分のPCが気づかないうちにサイバー攻撃の一部として利用される
ClickFix攻撃の対策

1. 不審な指示に従わない
- 「エラー解消のためにキーを押してください」などの表示が出ても無視する
- 特に「Ctrl+C」「Ctrl+V」「Ctrl+Shift+V」などは要注意
2. クリップボードの中身を確認する
- 貼り付ける前に、メモ帳などに一度ペーストして内容を確認
- 見覚えのないコマンドや怪しいURLがあれば絶対に実行しない
3. OS・ブラウザを最新に保つ
- 攻撃者は古い環境の脆弱性を狙うため、定期的に更新する
4. セキュリティソフトを活用する
- 不審な通信やファイル動作を検知するための保険として必須
5. 不審サイトを閉じる
- 少しでも怪しい動作を感じたら、すぐブラウザを終了する
よくある質問(FAQ)

ClickFix攻撃の名前の由来は?
「Click(クリック)」+「Fix(修正)」を組み合わせた造語で、「ユーザーに修正を促すように見せかけて操作を誘導する攻撃」 という意味があります。
どのOSが狙われやすいですか?
現状は Windows環境 が主なターゲットとされています。
特にPowerShellを利用したコマンド実行に悪用されやすいためです。
スマホも被害に遭いますか?
スマホでも「コピーして実行」操作は可能ですが、被害は主にPC環境が中心です。
ただし、不審なWeb指示はスマホでも警戒が必要です。
感染してしまった場合は?
- すぐにネットワークを切断
- セキュリティソフトでフルスキャン
- 被害が疑われる場合はパスワード変更や専門業者への相談が必要
まとめ
- ClickFix攻撃は「コピー&ペースト」「キー操作」を悪用する新しい攻撃手法
- 感染すると情報窃取や不正アクセス、ボット化のリスクがある
- 対策は「不審な指示に従わない」「貼り付け前に中身確認」「OS・ブラウザ更新」など基本的な注意が有効
ひとことアドバイス:
「ショートカットキーを押せ」「コピーして実行して」と言われたら、まずは疑いましょう。安全のためには“操作する前に確認する習慣”が一番の防御策です。