「SkypeからTeamsに移行したいのにうまくいかない」
「定例の通話も“電話”もそのまま使えるの?」——
そんな不安に、やさしく・実務目線で答えます。
ポイントは**“どのSkypeか”を最初に切り分けし、アカウント/ポリシー/電話(PSTN)/データの順で整えること。
この記事は公式仕様ベース**で、企業(Skype for Business)と個人(Skype → Teams Free)の両方をカバーします!
Contents
まず整理:「どのSkype」からの移行ですか?
ケース | 現状 | 状態/期限 | 代表的な移行先 |
---|---|---|---|
Skype(個人向け) | 無料/有料の“Skype”アプリ | 2025年5月5日にサービス終了。以降は利用不可 | Teams Free(Microsoftアカウントでサインイン) |
Skype for Business Online | Microsoft 365の旧オンライン版SFB | 2021年7月31日で廃止済み | Teams(クラウド) |
Skype for Business Server(オンプレ) | 社内サーバで運用中 | 継続利用可(※サーバのサポート期限に注意) | **Teams(クラウド)**へ段階移行+ハイブリッド |
まずは自分が使っているのが「個人向けSkype」か「Skype for Business」かを確認してください。
個人向けはTeams Freeへ、企業利用はTeams(エンタープライズ)へが大原則です。
全体像:移行の“勝ち筋”フロー

- 種別の特定:個人向けか/Skype for Businessか。
- アカウント確認:
- 個人向け → Microsoftアカウント(MSA)でTeams Freeにサインイン。
- 企業 → Entra ID(旧Azure AD)の組織アカウントでTeamsへ。
- ポリシー&モード(企業):TeamsOnlyへ移行/会議はMeeting Migration Serviceで自動変換。
- 電話(PSTN):Calling Plan/Operator Connect/Direct Routingのどれで行くか決め、番号や内線ルールを移管。
- データ:会議・連絡先・チャットの扱いを確認(移る/移らないの線引き)。
- クライアント:Windows/Mac/iPhone/Androidのアプリ入替・サインイン・自動起動設定。
- 試験運用→本番:少人数パイロット→段階展開。
「移行できない」時に多い原因と直し方(優先順)

1) アカウント種別の取り違え(MSA vs 組織アカウント)
- 個人のMSAで会社のTeamsに入ろうとして弾かれる/逆に組織アカウントでTeams Freeに入ろうとして失敗、が定番。
- 対処:個人はMSAでTeams Free、会社は組織アカウントでTeamsにサインイン。メールドメイン(@outlook.com / 会社ドメイン)で見分けましょう。
2) ライセンス/有効化不足(企業)
- Teamsのライセンス未割当、会議・音声のポリシー未設定で機能が出ないケース。
- 対処:管理者がTeamsライセンスと会議/メッセージング/通話ポリシーを割り当て。電話を使うならTeams Phoneも。
3) Coexistence/Upgrade設定がSFB寄りのまま(企業)
- IslandsやSfBOnlyのままで、チャット/通話がSkype側に流れてしまう。
- 対処:ユーザー/全体をTeamsOnlyへ。必要に応じて段階的に(Meetings First→TeamsOnly)。
4) 既存会議が古いまま(企業)
- Outlookに残ったSkype会議URLで参加者が混乱。
- 対処:Meeting Migration Service(MMS)でSkype会議→Teams会議へ自動変換(個別ユーザーのTeamsOnly化時に走るのが基本)。
5) 電話の移行手順抜け(企業)
- 代表番号・コールキュー・自動応答・緊急通報などの設計と番号移管が未完。
- 対処:Calling Plan/Operator Connect/Direct RoutingのどれでPSTNに出るか決定→番号ポート→自動応答/キュー設計→パイロット。
6) クライアント&キャッシュの不整合
- 旧Skype/旧SFBクライアントが自動起動して干渉。
- 対処:自動起動をオフ、Teams最新版を再インストール、必要なら旧アプリをアンインストール。
個人向けSkype → Teams Free(アプリ移行)
- やることはシンプル:Skypeで使っていたMicrosoftアカウントでTeams Freeにサインイン。
- 連絡先・チャット:Teams側へ自動で同期される設計(※一部の特殊/個別ケースは除外あり)。
- 端末別の最短手順
- Windows/Mac:Teams(新アプリ)をインストール→MSAでサインイン。Skypeは自動起動オフ→不要ならアンインストール。
- iPhone/Android:Teamsアプリを入れて同じMSAでサインイン。通知・連絡先の権限を確認。
- 注意:特殊なチャット(自分宛・プライベート会話など)や一部のBot/コパイロット履歴は移らない場合があります。必要な情報はエクスポートで保全を。
企業:Skype for Business → Teams(運用のコア)

モード(Coexistence/Upgrade)の決め方
- Islands:TeamsとSFBを並行。
移行初期の触りとしてはOKだが、長期運用は混乱しやすい。 - SfBWithTeamsCollab / MeetingsFirst:コラボや会議だけ先にTeamsへ。
- TeamsOnly:最終形。チャット/通話/会議がTeamsに集約。
おすすめ:パイロット後、部署ごとにTeamsOnlyへ段階移行。
会議の移行(MMS)
- ユーザーをTeamsOnlyに切り替える際、Outlookの既存Skype会議をTeams会議に置き換え。
- Exchangeがオンプレなど例外条件では手動移行が必要になる場合あり。
連絡先・チャット
- 会議予定は自動変換できる一方、SFBの既存チャット履歴の“一括移行”は不可が原則。
監査・記録要件がある場合は保持ポリシー/アーカイブの設計で対応します。
“電話(PSTN)”の移行:3つの選択肢(企業)
方式 | 概要 | 向くケース | メモ |
---|---|---|---|
Calling Plan | Microsoftから番号/通話分を購入 | 小〜中規模、スピード重視 | 国/地域の提供状況に左右 |
Operator Connect | 認定キャリアを管理センターから選んで直結 | 既存キャリアを生かしたい | 構築簡易・運用はキャリア主導 |
Direct Routing | 認定SBCで自社回線と接続 | 既存PBX/回線を活かす大規模 | 設計自由度が高く要件に強い |
- 代表番号・時間外ルール・自動応答(AA)・キュー(CQ)・緊急通報・録音要件まで、音声設計をこのタイミングで整理。
- **番号移管(ポート)**は時間がかかることがあるため、余裕を持って申請。
Mac / iPhone で詰まったら
- Mac:
Teams(新アプリ)を最新に→ログインし直し→「ログイン項目」でSkype/SFBの自動起動をオフ。
必要ならアンインストール。 - iPhone:
Teamsを最新に→通知/マイク/カメラ権限→モバイルデータの省データモードはオフ(通話が不安定なら)。 - 会議招待の“差し替え”:
Outlook予定に古いSkype会議リンクが残っていたら、予定を開き直して会議リンクを更新(企業はMMSで自動化が基本)。
「期間・いつまで?」のリアル

- 個人向けSkype:2025/5/5で終了。以降はTeams Freeへ。
- SFB Online:2021/7/31で廃止済み。
- SFB Server:運用は可能だがサポート期限に注意(バージョンにより異なる)。
企業はTeamsOnly前提の設計に切り替え、会議・音声・セキュリティをTeams基準で整えるのが安全です。
かんたんチェックリスト(迷ったら上から順に)
- 自分のSkypeは個人?SFB?
- サインインIDは正しい?(MSA=Teams Free / 組織ID=Teams)
- 企業ならモードはTeamsOnly?(一部段階移行はOK)
- Outlookの会議はTeamsリンクに更新済?(MMS or 手動)
- 電話方式は決まった?(Calling Plan / Operator Connect / Direct Routing)
- クライアントは最新版?(旧アプリの自動起動はOFF)
- 移らないデータはエクスポート保全済?(必要に応じて)
よくある質問(本文で未カバーのものだけ)

なぜSkypeはサービス終了になったのですか?
個人向けSkypeは2025年5月に終了し、Teams(Free/Business)へ集約されました。
機能重複の整理と、Teamsへの一本化が背景です。
SkypeからTeamsに“電話”はそのまま?
企業の音声はTeams Phoneで再設計します。
番号はポートし、AA/CQ/緊急通報などをTeamsで構築。方式は上の3択から。
“アプリで移行”が出てこない/途中で止まる
アカウント種別(MSA/組織)とライセンス/ポリシーを再確認。
モバイルは最新アプリ・権限・省データ設定をチェック。
データ移行はどこまで?
個人向けの連絡先・チャットはTeams Freeへ同期(特殊ケースを除く)。
企業のSFB既存チャット履歴の一括移行は不可が前提。会議はMMSで置き換えます。
まとめ(要点+ひとこと)
- 個人はMSAでTeams Freeへ。連絡先・チャットは自動同期(一部除外あり)。
- 企業はTeamsOnlyへの移行がゴール。会議はMMS、電話はTeams Phoneの3方式から選定。
- **“移行できない”**の多くは、アカウント混同/ポリシー未設定/番号移管の詰まり。順番にほどけば必ず進みます。
ひとこと:
まずは小さなパイロットで成功体験を作り、その設定をテンプレ化して全社展開。
迷ったら「アカウント→モード→会議→電話」の順で整えると、早く・安全に移れます。
参考リンク(公式・最小限)
- Skype終了とTeams Freeへの移行(個人向け) Microsoft Support
- Skype for Business Onlineの廃止と移行の考え方 Microsoft Learn
- Skype for Business→Teamsのアップグレード手順(全体像) Microsoft Learn
- 共存モード/TeamsOnlyの設定(管理) Microsoft Learn
- Teams Phoneの概要(電話/PSTN) Microsoft Learn