特別支給の老齢厚生年金を受給している方は、確定申告が必要なケースとそうでないケースがあります。
年金受給額やその他の収入が関係し、税金が発生することも。
本記事では、確定申告が必要な条件や申告方法、節税のヒントについて詳しく解説します。
Contents
特別支給の老齢厚生年金は確定申告が必要?
1. 年金収入が確定申告の対象になる条件
特別支給の老齢厚生年金は、通常、所得税や住民税が課税される「雑所得」に分類されます。
ただし、全員が必ず確定申告を行う必要があるわけではありません。
- 確定申告が不要な場合
公的年金の収入金額が400万円以下で、かつ給与所得などの他の所得が20万円以下の場合。 - 確定申告が必要な場合
公的年金以外の収入が多い場合や、医療費控除などの還付申告を希望する場合。
2. 公的年金等控除が適用される
公的年金等控除によって、一定額までの年金収入は非課税となります。
控除額は受給者の年齢や年金額に応じて異なります。
年金収入 | 公的年金等控除額 |
---|---|
130万円以下 | 60万円 |
130万円超~410万円以下 | 60万円+(収入-130万円)×25% |
410万円超~770万円以下 | 195.5万円+(収入-410万円)×15% |
確定申告が必要なケース
1. 年金収入が400万円を超える場合
年金収入が400万円を超える場合、たとえ給与や副収入がなくても確定申告が必要です。
2. 他の所得がある場合
- 給与所得:アルバイトやパートで得た給与がある場合、年収が20万円を超えると申告が必要。
- 不動産収入:家賃収入がある場合は、収入から必要経費を差し引いた所得額が課税対象。
3. 還付申告を希望する場合
- 医療費控除や配偶者控除、住宅ローン控除を適用する場合は、確定申告が必要です。
- 年金から天引きされる税金を正確に調整するため、申告を行うと還付を受けられる場合があります。
特別支給の老齢厚生年金に対する税金の計算方法
1. 所得税と住民税の計算
年金収入から公的年金等控除を差し引き、残った金額が課税所得となります。
- 所得税:課税所得に応じた税率(5%~45%)を適用。
- 住民税:課税所得に10%の一律税率が適用されます。
2. 計算例
例1:65歳未満の受給者(年金収入200万円の場合)
- 年金収入:200万円
- 公的年金等控除:60万円+(200万円-130万円)×25%=77.5万円
- 課税所得:200万円-77.5万円=122.5万円
課税所得に基づき、所得税と住民税が課されます。
3. 所得控除の活用
以下の控除を適用することで、課税所得を減らし節税が可能です。
- 基礎控除(48万円)
- 社会保険料控除(健康保険料、介護保険料など)
- 医療費控除
確定申告の手続き方法
1. 必要書類
- 年金受給者の源泉徴収票:日本年金機構から郵送される。
- 控除証明書:医療費控除や生命保険料控除を申請する場合に必要。
- 振込先口座情報:還付を受けるための銀行口座情報。
2. 申告の流れ
- 確定申告書を準備(税務署または国税庁の公式サイトから入手)。
- 必要事項を記入し、源泉徴収票や証明書を添付。
- 税務署へ提出(郵送、持参、またはe-Taxでオンライン提出)。
3. 提出期限
- 確定申告の期限は毎年3月15日です。
- 還付申告の場合、申請は5年間さかのぼって可能です。
確定申告しない場合のリスク
1. 未申告によるペナルティ
- 所得税の追徴課税や延滞税が課される場合があります。
- 特に高額の未申告が続くと、税務調査の対象になる可能性があります。
2. 年金の控除が正しく反映されない
- 確定申告を行わないと、公的年金等控除や各種控除が適用されず、税負担が増える場合があります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 年金受給額が少なくても確定申告は必要ですか?
- 公的年金の収入が400万円以下で、他の所得が20万円以下であれば、通常は申告不要です。
Q2. 年金と給与収入がある場合、どうなりますか?
- 給与収入が20万円を超える場合、確定申告が必要です。給与と年金の合算額に基づき税金が計算されます。
Q3. 医療費控除を申請する場合、どう手続きすれば良いですか?
- 医療費の領収書や明細書を用意し、確定申告書の「医療費控除」欄に記入してください。
まとめ:特別支給の老齢厚生年金と確定申告の基本を押さえよう
特別支給の老齢厚生年金を受給している場合、収入や控除の状況に応じて確定申告が必要になることがあります。
年金からの天引きや控除の確認を怠らず、適切な申告を行いましょう。
この記事を参考に、税金に関する不安を解消し、正確な手続きで安心した生活を送りましょう!