冬から春にかけて流行する感染性胃腸炎の主な原因ウイルスには、ノロウイルスとアストロウイルスがあります。
どちらも下痢や嘔吐を引き起こしますが、症状の重さや感染経路、予防方法には違いがあります。
「ノロウイルスとアストロウイルスは何が違うのか?」
「どちらが危険なのか?」
「感染を防ぐためにはどうすればいいのか?」
この記事では、アストロウイルスとノロウイルスの違いを比較しながら、症状や予防法、家庭での対策を詳しく解説します。

Contents
アストロウイルスとは?

アストロウイルスは、小児や高齢者を中心に感染するウイルス性胃腸炎の原因の一つです。
特徴
- 主に乳幼児や高齢者に感染しやすい
- 冬に流行しやすいが、1年を通して発生することもある
- 症状は比較的軽く、重症化しにくい
主な症状
- 軽度の下痢(1~4日続く)
- 発熱(38度未満の微熱が多い)
- 嘔吐(ノロウイルスほど激しくない)
感染経路
- 汚染された水や食品(生野菜、生水など)
- 感染者の手指を介した接触感染
- 便からの二次感染(排泄物処理の際に手を介して口に入る)
ノロウイルスと比べると感染力は弱めですが、集団感染のリスクがあります。
ノロウイルスとは?

ノロウイルスは、非常に感染力が強く、毎年冬に大流行する感染性胃腸炎の主な原因です。
特徴
- 全年齢層が感染するが、特に幼児や高齢者は重症化しやすい
- 11月~3月に流行のピークを迎える
- ごく少量(10~100個程度)のウイルスでも感染するほど感染力が強い
主な症状
- 激しい嘔吐(突然起こることが多い)
- 水のような下痢(回数が多い)
- 腹痛、倦怠感
- 発熱(37~38度程度)
感染経路
- 汚染された食品(特に二枚貝)
- 感染者の嘔吐物や排泄物を介した接触感染
- 空気中のウイルスを吸い込むことによる飛沫感染
非常に感染力が強く、家庭や学校、施設内での集団感染が起こりやすいです。
アストロウイルスとノロウイルスの違い【比較表】
項目 | アストロウイルス | ノロウイルス |
---|---|---|
主な感染者 | 乳幼児・高齢者 | すべての年齢層 |
流行時期 | 通年(冬に多い) | 冬(11月~3月) |
感染力 | やや弱い | 非常に強い |
主な症状 | 軽度の下痢・発熱 | 激しい嘔吐・水様性下痢 |
潜伏期間 | 2~4日 | 12~48時間 |
主な感染経路 | 水・食品・接触感染 | 食品・接触感染・飛沫感染 |
重症化リスク | 低め | 高め(脱水症状に注意) |
予防策 | 手洗い・加熱調理 | 手洗い・次亜塩素酸消毒 |
ノロウイルスの方が感染力が強く、嘔吐や下痢の症状も激しいため、特に幼児や高齢者は注意が必要です。
どちらが危険?重症化しやすいのは?

ノロウイルスの方が危険度が高いと考えられます。
- 激しい嘔吐や下痢による脱水症状のリスクが高い
- 感染力が非常に強く、家庭内感染しやすい
- 免疫力の低い乳幼児や高齢者では、脱水による重症化の可能性がある
一方で、アストロウイルスは比較的軽症で済むことが多く、回復も早いのが特徴です。
感染予防と家庭での対策

手洗いの徹底
- 石けんと流水で30秒以上手を洗う
- アルコール消毒ではなく、石けんで物理的にウイルスを洗い流すことが重要
食品の取り扱いに注意
- 二枚貝(カキなど)は85℃以上で90秒以上加熱
- 生野菜はしっかり洗う
嘔吐物や排泄物の処理方法
- 次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤)で消毒
- 使い捨て手袋・マスクを着用し、ペーパータオルで処理
タオルや食器の共用を避ける
- 感染者がいる場合、タオル・食器・トイレの便座などの消毒を徹底する
治療方法の違い
治療方法 | アストロウイルス | ノロウイルス |
---|---|---|
特効薬 | なし | なし |
対症療法 | 水分補給・整腸剤 | 水分補給・整腸剤 |
病院に行く目安 | 乳幼児・高齢者の脱水症状 | 嘔吐や下痢が続き脱水症状がある場合 |
どちらも特効薬はなく、基本的には自然回復を待つことになります。
まとめ

- アストロウイルスは軽症が多いが、ノロウイルスは激しい嘔吐や下痢で重症化のリスクが高い
- ノロウイルスの感染力は非常に強く、飛沫感染や接触感染で広がりやすい
- 手洗いの徹底、食品の加熱、嘔吐物の適切な処理が予防の鍵
- どちらも特効薬はなく、水分補給と安静が重要
参考情報URL
📍 厚生労働省|感染性胃腸炎の予防
https://www.mhlw.go.jp/
📍 国立感染症研究所|ノロウイルス・アストロウイルスとは?
https://www.niid.go.jp/
📍 日本食品衛生協会|家庭でできる感染対策
https://www.n-shokuei.jp/