中国の大手自動車メーカー BYD が、日本市場にプラグインハイブリッド車（PHV）を投入すると発表し、大きな注目を集めています。
特に話題となっているのが、
「BYDのPHVが無関税で日本に輸入される」
という点。
このニュースを受け、
「なぜ無関税なのか？」
「日本市場にどのような影響を与えるのか？」
といった疑問を抱く方が多いのではないでしょうか？
この記事では、 BYDのPHVが無関税である理由とその背景、日本市場や国内メーカーへの影響、そして消費者へのメリット・デメリット を詳しく解説していきます。
Contents
BYDのPHVとは？日本市場で注目される理由
1. BYDとはどんなメーカー？
BYD（比亜迪）は中国に本社を置く、世界最大級のEV・PHVメーカーです。
2024年の世界販売台数は約427万台に達し、ホンダや日産を上回る見込みです。
特にPHVの販売台数は 前年比72%増の248万台 を記録しており、同社の主力製品となっています。
2. BYDのPHVの特徴
BYDのPHVには、独自技術 「DM-i」 を搭載。
この技術により、以下の特徴があります。
- 燃費性能が非常に高い（「世界最高性能の燃費効率」とBYDは主張）。
- 低価格：従来のPHVに比べ、コストパフォーマンスが優れている。
- 航続距離が長い：ガソリンと電気のハイブリッドシステムにより、長距離走行が可能。
これらの特徴が、価格や性能を重視する消費者に受け入れられている理由です。
BYDのPHVがなぜ無関税で輸入されるのか？
1. 日中経済連携協定（EPA）の影響
BYDのPHVが無関税で輸入される背景には、日本と中国が締結している 日中経済連携協定（EPA：Economic Partnership Agreement） の影響があります。この協定では、以下のようなルールが設定されています。
- 日本と中国の間で特定の商品に対する関税が撤廩または引き下げられる。
- 自動車分野についても、 条件を満たす製品に対して関税が免除 されるケースがある。
BYDのPHVが無関税である理由についても、こうした経済協定に基づいている可能性が高いと考えられます。
2. RCEP（地域的な包括的経済連携協定）の適用
さらに、2022年から発効している RCEP（Regional Comprehensive Economic Partnership） も影響しています。
この協定には、日本、中国、韓国、ASEAN諸国などが参加しており、アジア地域内での貿易を促進する目的があります。
RCEPでは、加盟国間の関税を段階的に撤廃または削減する規定があり、以下のような特徴があります。
- 原産地証明書を取得することで、無関税の対象となる。
- 特定の環境対応型製品（例：PHVやEV）に優遇措置を適用。
BYDのPHVがこのRCEPの条件を満たしている可能性が高いことから、無関税で輸入されていると考えられます。
💡 ポイント：こうした貿易協定は、環境対応型製品の普及促進や貿易の自由化を目的としていますが、結果的にBYDのような海外メーカーにとって有利な状況を作り出していると言えるでしょう。
無関税が日本市場にもたらす影響
1. BYD車の低価格化による競争激化
無関税での輸入は、製品価格に大きな影響を与えます。
関税がないことで、BYDのPHVは日本市場で競争力のある価格設定を実現しやすくなります。
例えば、関税が10%かかる場合と比較すると：
- 関税あり：300万円 × 1.1 = 330万円
- 関税なし：300万円
→ この30万円の差が、消費者にとって大きな購入動機となる可能性があります。
💡 結果：BYDのPHVが低価格で販売されることで、国内メーカー（トヨタ、ホンダ、日産など）の販売価格や戦略に影響を与えると考えられます。
2. 国内メーカーへの脅威
BYDは低価格かつ高性能なPHVで、日本市場への参入を本格化させています。
国内メーカーにとって以下のような脅威が考えられます。
- 価格競争の激化：低価格なBYD車に対抗するため、国内メーカーも価格引き下げを余儀なくされる可能性。
- 技術競争：BYDの独自技術「DM-i」に対抗するための開発コストの増加。
消費者にとってのメリット・デメリット
メリット
- 低価格で高性能な車を選べる
- BYDの無関税輸入により、消費者は手頃な価格でPHVを購入する選択肢が増える。
- 航続距離や燃費性能が優れている
- 長距離移動を考える人にとって、BYDのPHVは魅力的な選択肢となる。
デメリット
- 国内メーカーの競争力低下
- BYDの参入が国内メーカーの市場シェアを奪うことで、日本の産業や雇用に悪影響を及ぼす可能性。
- 品質や安全性への懸念
- 中国製の自動車に対する品質やアフターサービスの信頼性に疑問を持つ消費者も多い。
よくある質問（FAQ）
Q1. なぜBYDのPHVは無関税で日本に入るのですか？
A. 日本と中国の間で締結された 日中EPA や RCEP に基づき、特定条件を満たす自動車製品に関税が免除されている可能性があります。
Q2. 無関税の対象はBYDだけですか？
A. いいえ。他の中国メーカーやアジア諸国のメーカーも、同様に無関税の恩恵を受ける場合があります。
ただし、条件を満たす必要があります（例：原産地証明書など）。
Q3. BYD車はどのくらい安くなるのですか？
A. 関税がかからないことで、車両価格が 10～20万円以上安く なる可能性があります。
ただし、最終的な価格は日本市場向けの仕様やオプションにより異なります。
まとめ：BYDの無関税がもたらす未来
BYDのPHVが無関税で日本市場に参入する背景には、 日中EPAやRCEPといった自由貿易協定 が深く関係しています。
これにより、BYDは低価格で日本市場に車両を提供でき、消費者にとっては新たな選択肢が増えるメリットがあります。
一方で、国内メーカーにとっては競争激化や市場シェア低下という課題が生まれる可能性があります。
日本市場におけるBYDの動きが、国内メーカーの今後の戦略にどのような影響を与えるのか、注目が集まります。
