60歳を過ぎて働き続ける方は、厚生年金への加入が求められる場合がありますが、その際に国民年金がどう扱われるのか疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、60歳以上で厚生年金に加入した場合の国民年金との関係、保険料の仕組みや受給額への影響についてわかりやすく解説します。
Contents
60歳以上の厚生年金加入時に国民年金はどうなる?
厚生年金加入者は国民年金にも自動的に加入する仕組み
厚生年金に加入すると、その加入期間は同時に国民年金の第2号被保険者としてカウントされます。
このため、厚生年金の保険料を支払っている間は、国民年金の保険料を別途支払う必要はありません。
厚生年金加入中の国民年金保険料の免除
厚生年金保険料には、老齢基礎年金(国民年金)部分が含まれているため、国民年金の保険料を個別に支払う必要はありません。
この仕組みによって、国民年金の保険料が二重で発生することはありません。
厚生年金加入が国民年金受給額に与える影響
加入期間の延長で国民年金額が増える
厚生年金に加入することで、老齢基礎年金(国民年金)の加入期間が延びます。
加入期間が長くなるほど、65歳以降に受け取る国民年金の受給額が増加します。
例として、以下のように増加が見込まれます。
- 1年間加入を延長すると、年間で約2万円増加(令和5年度の基準)。
- 40年間満額加入した場合、老齢基礎年金の満額に近づく。
受給資格期間にカウントされる
厚生年金に加入している期間は、国民年金の受給資格期間としても計算されます。
これにより、受給資格を満たすための25年(2022年以降は10年)の条件をクリアする助けにもなります。
厚生年金と国民年金の保険料について
厚生年金保険料に含まれる国民年金分
厚生年金保険料には、国民年金分が含まれており、保険料は労使折半で支払われます。
このため、厚生年金に加入している限り、国民年金の保険料を別途支払う必要はありません。
二重払いの心配はない
厚生年金に加入している場合、国民年金の保険料が別途請求されることはありません。
このため、保険料の二重払いが発生する心配はありません。
60歳以降の国民年金任意加入制度のポイント
国民年金の任意加入制度とは
60歳以降も国民年金に任意で加入することで、老齢基礎年金の受給額を増やすことができる制度です。
ただし、厚生年金に加入している場合、この制度を利用する必要はありません。
任意加入が必要な場合
厚生年金に加入していない期間がある場合や、満額の老齢基礎年金を目指したい場合に任意加入を検討するケースがあります。
加入可能な年齢は70歳までです。
厚生年金加入のメリットとデメリット
メリット
- 老齢厚生年金と老齢基礎年金の両方の受給額が増加。
- 保険料が労使折半であるため、自己負担額が軽減される。
- 60歳以降の厚生年金加入期間は、将来の年金額にプラスの影響を与える。
デメリット
- 短期的には厚生年金保険料の負担が増えるため、手取り収入が減少する場合がある。
- 在職老齢年金制度の影響で、年金額が減額または支給停止になる可能性がある。
年金の受給タイミングと設計の考え方
加入延長が年金額に与えるメリット
厚生年金の加入を延長することで、将来的な受給額が増える可能性があります。
特に60歳以降の加入期間は、老齢厚生年金の計算においてプラスの影響を与えます。
自分に合った設計を選ぶ
短期的な収入確保を優先する場合は、年金受給を早める選択も可能です。
一方、長期的な年金額の増加を目指す場合は、加入延長を検討する価値があります。
よくある質問(FAQ)
厚生年金加入中に国民年金を追加で支払う必要がありますか
厚生年金保険料に国民年金分が含まれているため、追加で国民年金を支払う必要はありません。
60歳以降に厚生年金に加入すると国民年金が増えますか
厚生年金加入期間が延びることで、老齢基礎年金(国民年金)の受給額が増加します。
厚生年金に加入しない場合のデメリットはありますか
厚生年金に加入しない場合、老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給額が増えない可能性があります。
また、加入期間が不足することで受給資格に影響が出る場合もあります。
まとめ
60歳以上で厚生年金に加入する場合、国民年金の保険料は厚生年金保険料に含まれるため、二重払いの心配はありません。
また、厚生年金加入期間の延長は、老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給額を増やすメリットがあります。
働き方や収入の状況に応じて、自分に合った年金設計を選ぶことが重要です。