17. 不定詞
ここで学ぶ不定詞と、他の記事で記載する動名詞・分詞を合わせて準動詞といいます。
準動詞はいずれも元来は動詞ですが、主語の人称・数によって語形変化することが
なく、文中では名詞・形容詞・副詞などの働きをします。
不定詞には、名詞・形容詞・副詞の三つの働きがあり、文中では、主語・目的語・補語
や修飾語句になりますね。
不定詞は英文で用いられることがきわめて多く、いくつもの用法があり、英語学習の中心の一つでああるから、基礎からしっかり身につけましょう。
●不定詞の用法
不定詞はふつう「 to + 動詞の原形 」ですが、 to のない形 (=原形不定詞)もあります。
to 不定詞 I like to skate on the lake. (私は湖でスケートをするのが好きだ)
to + 動詞の原形
原形不定詞 I heard the bell ring. (私はベルが鳴るのをきいた)
(toなし不定詞) 動詞の原形のみ
不定詞といえば、一般には「 to + 動詞の原形 」をさし、原形不定詞はいくつかの
特定の動詞と関連して用いられるだけなんですね。
① 不定詞の性質
不定詞が必要になるのは、述語動詞のほかにもう一つ動詞を使いたい場合です。
たとえば、「若者はスキーをしたがる」という文ならば、「~したい (want) 」は
述語動詞に、「スキーをする」のほうは to ski と不定詞にして、次のような英文に
することができます。
Young people want to ski. (若者はスキーをしたがる)
このように不定詞は元来動詞ですが、主語に対する述語動詞ではないから主語の
人称・数によって形が変わることはありません。
一般に、不定詞には次の特徴があります。
❶ 主語の人称・数や時制によって語形変化しない。
I want to ski. / He wants to ski. (to skis とはしない)
He wanted to ski with her. (to skied とはしない)
(彼は彼女とスキーがしたかった)
<NOTE>
述語動詞の時制や、意味上の主語との関係によって、不定詞が進行形 (to be+ ~ing)、
完了形 (to have +過去分詞)、受動態 (to be + 過去分詞)になることもある。
ここには不定詞の動詞的性格が見られる。
We expect her to be treated kindly. (彼女は親切に扱われると思う)
❷ 動詞として、目的語・補語や修飾語句を伴うことができる。
I like to skate on the lake. (on the lake は修飾語句)
(湖の上でスケートをするのが好きだ)
I like to sing pop songs. (songs は sing の目的語)
(流行歌を歌うのが好きだ)
② 名詞的用法
不定詞が「~すること」の意味を表し、名詞と同じ働きをすることがあります。
この用法を名詞的用法という。次の2文を比べてみましょう。
I want some apples. (私はリンゴがほしい)
O (~を)
I want to buy some apples. (私はリンゴを買いたい)
S V O (~することを)
名詞的用法の不定詞は、文中で主語・目的語・補語になります。
主語になる 不定詞 |
To know yourself is difficult. S (自分自身を知ることは難しい) (= It is difficult to know yourself.) |
目的語になる 不定詞 |
I hope to see Kate again. O (またケイトに会うことを望む) |
補語になる 不定詞 |
To see her is to love her. C (彼女を見ることは彼女を愛することである) → (彼女を見たら愛するようになる) |
訳し方に注意!
とくに目的語になる不定詞は、前の動詞といっしょにして訳し方を工夫すること。
She began to make cakes.
(彼女はケーキを作り始めた)
Ken tried to climb the tree.
(ケンはその木に登ろうとした)
The king decided to build a new palace.
(王は新しい宮殿を建てようと決心した)
We are planning to go to Hawaii this summer.
(私達は今年の夏にハワイへ行く計画を立てている)
<NOTE>
不定詞が主語になる場合は、文頭に長い名詞句がきて文の句調が不安定になります。
そこで形式主語の It を文頭に置き、It ~ to … の形にして、不定詞を文尾に移すことが多いんです。
To smoke too much is bad for the health.
↓
It is bad for the health to smoke too much.
(たばこの吸い過ぎは健康に良くない)
③ 形容詞的用法・副詞的用法
不定詞が文の主要素(S・O・C)ではなく、修飾語句として用いられることもあります。
これには次の二つの場合がありますね。
(a) 名詞・代名詞を修飾 (形容詞句) ……「~するための」「~すべき」
(b) 動詞・形容詞などを修飾 (副詞句)…「~するために」「~して」
(a)の用法を形容詞的用法、
(b)の用法を副詞的用法
といいます。
同じ不定詞でも、色々な用法があるので、意味・働きに注意して区別します。
形容詞的 用法 |
(代)名詞+ 不定詞 |
She wants a hat to match her new coat. 〔帽子 ← 新しいコートに合う〕 (彼女は新しいコートに合う帽子がほしい) I have no friends to talk with. (私は話をする友達がいない) |
副詞的 用法 |
目的(~する ために) |
We eat to live, not live to eat. (私達は生きるために食べるのであり、 食べるために生きるのではない) |
原因(~して) | I am glad to see you. (あなたに会えてうれしい) |
|
結果(~になる) | She grew up to be a pretty woman. (彼女は成長して美しい女性になった) |
<NOTE>
次のような形に注意しましょう。
❶「不定詞+前置詞」
上の表の形容詞的用法の例文に friends to talk with とあるように、不定詞のあとに前置詞をつけることがある。
talk with で「~と話し合う」であるから「話し合う友」は friends to talk with となる。
live in a house (家に住む) においても、不定詞表現を用いるなら a house to live in
(住む家)のように前置詞がつく。
❷ in order to ~, so as to ~
副詞的用法の不定詞が目的を表すことをはっきり示すため、in order や so as をつけることがある。
He works hard in order to 〔so as〕to keep his family in comfort.
(彼は家族が快適に暮らせるように一生懸命に働く)
判断の根拠 (~とは) などいろいろな意味を表すものがあります。
副詞的用法の不定詞には、上記に示した目的・原因・結果や条件 (~すれば)、どの意味であるかは英文の内容から判断します。
To hear him speak, you would think him (to be) an old man.
( If you heard him speak, …)
(彼が話すのを聞いたら彼のことを老人と思うだろう) 〔条件〕
English is difficult to master in so short a time. (× so a short time)
(英語はそんな短時間でものにするにはむずかしい) 〔範囲〕
He must be crazy to tear his own coat.
(彼は自分のコートをやぶるなんて気がちがっているにちがいない) 〔判断の根拠〕
<NOTE>
結果を表す不定詞は only や never を伴うことがあり、ほかの用法と区別できます。
次の only to ~, never to ~ の形に注意。
He tried hard only to fail. (= but failed)
(彼は熱心にやったが失敗しただけだった)
She left home never to return. (= and never returned)
(彼女は家を出て二度と帰らなかった)
なお、不定詞が文全体を修飾することがあるので、熟語として覚えましょう。
To tell the truth, he is poor at mathematics.
(本当のことをいえば、彼は数学が不得意だ)
ポイント
●不定詞の意味は文中での意味や働きから判断する。
名詞的用法 … 「~すること」 主語・目的語・補語になる
形容詞的用法 … 「~するための」名詞・代名詞を修飾
副詞的用法 … 「~するために」(目的)、「~して」(結果)、(原因)などを表し、
動詞・形容詞などを修飾