6. 副詞の用法
修飾語句について考えるときには、形容詞と並んで、副詞が大切です。
副詞の基本的な働きは、次の fast のように動詞を修飾することですが、形容詞や
ほかの副詞を修飾する場合もあります。
(例)
He runs fast. (彼は速く走る) 〔動詞を修飾〕
He is very kind. (彼はとても親切だ) 〔形容詞を修飾〕
He runs very fast. (彼はとても速く走る) 〔ほかの副詞を修飾〕
①副詞の形
副詞は、形容詞の語尾に ly をつけてつくるものが多いです。
また、形容詞と同形のものもあるので、意味・用法から区別する必要があります。
「形容詞 + ly」 の副詞 |
slow (遅い) → slowly (遅く), easy (容易な) → easily (容易に) true (ほんとうの) → truly (真に) |
形容詞と同形の 副詞 |
early (早い・早く), fast (速い・速く), hard (熱心な・熱心に), late (遅い・遅く) |
形容詞と別語 | good (良い) ー well (上手に) |
He is an early riser. (彼は起きるのが早い) 〔形容詞〕
He gets up early. (彼は早く起きる) 〔副詞〕
●次のような紛らわしい副詞に注意
1. 形容詞と同形であるが、形容詞と副詞では意味が違うもの。
a pretty doll (かわいい人形)
It's pretty cold (かなり寒い)
2. 形容詞と同形の副詞と「 形容詞 + ly 」の副詞があり、意味が違うもの。
hard (熱心に) high (高く) late (遅く)
hardly (ほどんど~ない) highly (非常に) lately (最近)
なお、ly の形をしてはいるが、形容詞である語に注意。
friendly (友好的な), likely (ありそうな)
②副詞の用法と位置
副詞の基本的な用法と位置は、原則として次のようになります。
用法 | 位置 | 例 |
動詞を修飾する | 動詞のあと | He works hard. (働く←熱心に) |
「動詞+目的語・補語」 のあと |
He studies English hard. (勉強する←熱心に) |
|
形容詞を修飾する | 形容詞の前 | It is pretty hot today. (かなり→暑い) |
他の副詞・副詞句(節) を修飾する |
副詞の前 | It was raining very hard. (とても→激しく) |
副詞句(節)の前 | He came home just at six. (ちょうど→6時に) |
He speaks English very well. 〔ほかの副詞や動詞を修飾〕
(彼は英語をとてもうまく話す)
She came back just as I was leaving. 〔副詞節を修飾〕
(ちょうど出かけようとしていた時に、彼女が戻ってきた)
ただし、頻度や否定を表す副詞は、ほかの副詞とはちがって、ふつう次のような位置に置かれます。
I often go to the movies. 〔一般動詞の前〕
(私はよく映画を見に行く)
He is always kind to animals. 〔be動詞のあと〕
(彼はいつも動物には優しくする)
I have never met him. 〔助動詞のあと〕
(私は彼に一度も会ったことがない)
ほかに usually (ふつう), sometimes (ときどき) なども頻度を表す副詞で、文頭や文尾でも用いられます。
●一般に動詞がいくつか並ぶときには、「場所+様態+時」(場所・時は小→大)
の語順になります。
They landed on an island safely yesterday.
場所 様態 時
(彼らは無事にある島に上陸した)
③注意すべき副詞
上記で説明した副詞の用法と位置の原則をしっかり身につけた上で、次のような特別な用法と位置にも注意。
❶時・場所を表す副詞(句)
文尾に置くのがふつうですが、文頭に置くこともあるんです。
I went there yesterday. (私は昨日そこに行った) 〔文尾〕
Last summer we went to Tokyo. (私達はこの前の夏、東京に行った) 〔文頭〕
<NOTE>
up, down, out などの副詞が文頭にくると、あとの語順に倒置(V+S)が起こることがあります。
Down fell the house a week later.
副詞 V S (一週間後にその家は倒壊した)
Up jumped the house big dogs.
副詞 V S (その3匹の大きな犬は飛び上がった)
❷「動詞+副詞」の群動詞
目的語が代名詞の時は、「動詞+目的語(代名詞)+副詞」の順になる。
Please turn on the television. 〔動詞+副詞+名詞〕
Please turn the television on. 〔動詞+名詞+副詞〕
Please turn it on. 〔動詞+代名詞+副詞〕
(どうぞそれ〈テレビ〉をつけてください)
❸文修飾の副詞
副詞が文全体を修飾することがある。この場合は、副詞の位置は比較的自由であり、文頭・文中・文尾のいずれも可能。
Fortunately no one was hurt. (幸い誰も怪我をしなかった)
=It was fortunate that no one was hurt.
He was naturally very angry. (彼が怒ったのは当然だ)
He killed the goose, foolishly. (彼はおろかにもガチョウを殺した)
<NOTE>
文全体を修飾するか、動詞だけを修飾するかによって意味が違ってきます。
次の2文を比べてみよう。
Happily he did not die. (幸い彼は死ななかった) 〔文全体を修飾〕
He did not die happily. (彼は幸せな死に方をしなかった) 〔動詞を修飾〕
❹enough (十分に) 修飾する形容詞・副詞のあとに置く。
He was kind enough to help me. (彼は親切にも私を助けてくれた)
❺only (ただ~だけ) 名詞・代名詞を修飾することもある特別の副詞。
Only you answered the question. (君だけが質問に答えた)
Only John was injured. (ジョンだけが怪我をした)
❻very, much 修飾する語によって、次のように使い分けます。
very の修飾する語 | 形容詞・副詞 | 原級 |
much の修飾する語 | 動詞・過去分詞 | 比較級・最上級 |
He likes English very much. (彼は英語がとても好きだ)
The question was much discussed. 〔過去分詞〕
(その問題は大いに討論された)
He is much older than Ken. 〔比較級〕
(彼はケンよりずっと年上です)
❼ ago, before ~ago は過去の文、~before は過去完了の文に用いる。
また、before は単独で「以前に」の意味を表し、現在完了の文に用いる。
I met her three days ago.
(私は彼女に3日前に会った) 〔過去〕
He said that he had met her a week before.
(彼は彼女に一週間前に会ったと言った) 〔過去完了〕
I have seen her before.
(私は以前に彼女に会ったことがある) 〔現在完了〕
❽ hardly, scarcely, barely 否定の副詞で、「ほとんど~ない、かろうじて」
の意味になる。
I hardly ever go out. (私はめったに外出しない)
I can scarcely believe it. (そんなこと信じられないね)
※ 副詞の位置に注意!
副詞の位置…動詞(+目的語)のあと、形容詞・副詞の前
ただし、頻度の副詞は動詞の前(be動詞、助動詞のあと)
④疑問副詞
疑問副詞には、when, where, how, why の四つがあります。ほかの副詞とちがって、いつも疑問文の文頭に用いられます。
when 〔時〕 (いつ) |
When will you be back? (あなたはいつ帰宅しますか) |
where 〔場所〕 (どこへ、どこに) |
Where was Tom born? (トムはどこで生まれましたか) |
why 〔理由〕 (なぜ) |
Why can't you come? (君はなぜ来られないの) |
how 〔方法〕 (どのように) 〔状態〕 (どんなふうで) |
How do you go to school? (君はどうやって通学するの) How is your mother? (お母さんは元気ですか) |
how + 形容詞・ 副詞〔程度〕 |
How many~?(数) How high~?(高さ) How much~?(量) How long~?(期間) How old~?(年齢) How far~?(距離、程度) How tall~?(身長) How often~?(回数) How soon~?(どのくらい早く) |
●疑問副詞が次のように文の途中にくることがある。
I know where he lives.
(私は彼がどこに住んでいるのか知っている)
このような文を間接疑問文といい、where 以下は名詞節である。