23. 分詞構文
現在分詞・過去分詞で始まる語句が、時・理由・付帯状況などを表すことがあります。
例をあげると…
Having little money with me, I couldn't buy the dictionary.
→ As I had little money with me.
(お金が少ししかなかったので、その辞書が買えなかった)
この having little money with me は理由を表しています。
ふつうは接続詞を用いて副詞節にする内容ですが、分詞を用いればこのように簡潔に表すことができます。
これを分詞構文というんです。
なお、分詞構文は文語に多く、会話文にはあまり用いられない表現です。
分詞構文は副詞句であることに注意しましょう。
① 分詞構文のつくり方
接続詞を用いた文を、分詞構文にするにはどうすればいいのでしょうか?
次の(a)接続詞を用いた文と(b)分詞構文とを比べてみましょう。
(a) When I entered the room, I saw a strange sight.
↓ ↓ ↓
(b) × × Entering the room, I saw a strange sight.
(部屋に入った時、私は奇妙な光景を見た)
(a)の文の「接続詞+主語+動詞」の3語が、(b)の分詞構文では現在分詞1語になって
いますね。
この手順をまとめると次のようになります。
●分詞構文のつくり方 ❶ 副詞節の接続詞をとり去る。 ❷ 主節の主語と一致している主語をとり去る。 ❸ 副詞節の動詞を現在分詞にかえる。 |
<NOTE>
副詞節の動詞が否定形なら not を分詞の前につける。
As I did not know her address, I could not write to her.
↓ ↓ ↓
× × Not knowing her address, I could not write to her.
② 分詞構文の意味
分詞構文には、副詞節とちがって接続詞がないから、どういう意味かを判断するとき
接続詞を手がかりにすることはできません。
そこで分詞構文と主文の関係を調べて、文全体の意味から判断することが必要に
なってきます。
時 「~とき」 |
Walking along the street, I happened to see my teacher. →When I was walking along the street. (通りをあるいていたら、偶然先生に会った) |
理由 「~ので」 |
Ms. Anne, playing the piano, didn't hear the bell. → as she was playing the piano, (アンさんはピアノをひいていたので、ベルが聞こえなかった) |
※分詞構文は、文頭だけでなく文中や文尾に置かれることもある。
付帯状況 「~しながら」 「…して~」 |
①Reading the morning paper, he had breakfast. (朝刊を読みながら、彼は朝食を食べた) ②Many people came to see the famous singer, causing a lot of trouble. → …and caused a lot of trouble. (多くの人がその有名な歌手を見に来て、大騒ぎを起こした) |
「付帯状況」というのは、
①主文の表す動作と関連して同時に起こる動作を表したり、
②主文の動作の結果を表すような場合です。
①の場合は、接続詞を用いて書きかえるのは難しいです。
付帯状況を示す分詞構文はふつう文尾にまわされます。
条件 「~すれば」 |
Turning to the left, you will find the hotel on the right. → If [when] you turn to the left, (左に曲がれば、右手にそのホテルが見えるだろう) |
譲歩 「~だが」 |
Admitting what you say, I still think you should apologize to him. → Though I admit what you say, (君の言うことは認めるが、それでも彼に謝るべきだと思う) |
分詞構文が「条件」「譲歩」の意味で用いられることは、比較的すくないですね。
<NOTE>
分詞の前に接続詞をつけて、意味をはっきりさせることもある。
While walking in the garden, I found some pretty flowers.
(庭を歩いていた時に、私は美しい花をみつけた)
③ 分詞構文の受動態・完了形
分詞構文が過去分詞で始まることがあります。
これは副詞節の動詞が受動態の場合にあたります。
「be動詞+過去分詞」→「being+過去分詞」となるはずですが、分詞構文ではふつう
文頭の being を省略して、過去分詞で始めるんです。
When he was left alone, the boy began to cry. ↓ ↓ ↓ × × (×) Left alone, the boy began to cry. ↑ (少年は一人にされると泣き出した) being を省略 |
Surrounded by the enemy, they had to prepare for death.
→As they were surrounded by the enemy.
(彼らは敵に囲まれたため、死の覚悟をしなければならなかった)
分詞構文が完了形「having+過去分詞」で始まることもあります。
完了形の分詞は主文の動詞よりも前の時を表します。
つまり、主文が現在なら過去または現在完了、主文が過去なら過去完了に相当するということです。
After he has locked the door, he goes out for a walk. ↓ ↓ ↓ × × Having locked the door, he goes out for a walk. (ドアに鍵をかけてから、彼は散歩に出かける) As I had seen him before, I knew at once who he was. ↓ ↓ ↓ × × Having seen him before, I knew at once who he was. (以前彼に会ったことがあったので、彼がだれかすぐにわかった) |
<NOTE>
完了形の分詞については、次の点に注意しよう。
❶否定形は「not [never] having + 過去分詞」
having not ~の語順は誤り。
Never having seen him before, I didn't know who he was.
(彼に会ったことがなかったので、私はが誰だかわからなかった)
❷「having been+過去分詞」の having been を省略することがある。
(Having been) Written in haste, the letter has some mistakes.
(その手紙は急いで書いたので、いくつか誤りがある)
④ 独立分詞構文
主文の主語と分詞の意味上の主語が異なるとき、分詞の意味上の主語を分詞の前につけます。
これを独立分詞構文といい、「意味上の主語(主格)+ 分詞」の形になります。
As it was Sunday, the street was crowded with people. ↓ ↓ ↓ × It being Sunday, the street was crowded with people. (日曜日だったので、通りは人々で混雑していた) |
The last bus having gone, we had to walk home.
→Because the last bus had gone, ~
(最終バスが出てしまったので、私達は歩いて帰宅しなければならなかった)
⑤ with + 独立分詞構文
独立分詞構文の前に with をつけて、「付帯状況」(~を…して) を表すことがあります。
with+名詞+ -ing [または過去分詞] の形になります。
The plane landed, with its silver wings shining in the sun.
(飛行機は陽光に銀色の翼を輝かせて着陸した)
She sat on the chair, with her legs crossed.
(彼女は脚を組んでいすにすわった)
<NOTE>
分詞の意味上の主語が一般の人の場合は、主文の主語と異なっていても省略される。
次のような慣用表現に多いですね。
judging from (~判断すると), generally speaking (一般的に言えば), frankly speaking (率直に言えば), talking [speaking] of (~といえば), considering~(~を考えれば) |