19. 原形不定詞
不定詞には「 to + 動詞の原形 」の形のほかに、to のつかない不定詞もあります。
これを、動詞の原形だけの不定詞という意味で、原形不定詞といいます。
原形不定詞は to つき不定詞とはちがって、次に述べるような特別の場合に用いられます。
① 助動詞 + 原形不定詞
can, must, will, shall, do などの助動詞のあとでは動詞の原形が用いられます。
It will be fine tomorrow. (明日は晴れるだろう)
Did you tell him your name? (彼に名前を告げた?)
② S + V + O + 原形不定詞
see, hear などの動詞は、「目的語+原形不定詞」を伴うことがあります。
次の2つの文の形を比べてみましょう。
❶ I told him to dance with her. (私は彼に彼女と踊るようにといった)
S V O toつき不定詞
❷ I saw him dance with her. (私は彼が彼女と踊るのを見た)
S V O 原形不定詞
❶は目的語のあとが to つき不定詞、❷は原形不定詞。
同じ「S+V+O+不定詞」の形でも、前の動詞が see, hear, make など知覚動詞、使役動詞(~させる、してもらう)の時は原形不定詞になるんです。
原形不定詞の意味上の主語は、目的語(O)です。
知覚動詞(see, hear, feel watch など)+ O+原形不定詞 |
I heard the door open. S V O 原形不定詞 (私はドアが開く音を聞いた) |
使役動詞(make, let, have など)+O+原形不定詞 |
They made Jim work too hard. S V O 原形不定詞 |
※知覚動詞、使役動詞には、目的語のあとが現在分詞や過去分詞になる形もある。
Did you feel the earth quake?
(地面が揺れるのを感じましたか)
I had my brother carry the box to my room.
(弟にその箱を部屋まで運ばせた)
<NOTE>
❶ 動詞 help のあとや、All you have to do is ~ (~しさえすればよい)
のあとでは to 不定詞、原形不定詞のいずれでもオッケーです。
I helped my mother (to) clean the room.
(私は母が部屋を掃除するのを手伝った)
All you have to do is (to) clean the room.
(君は自分の部屋の掃除さえすればよい)
❷ 知覚動詞、使役動詞が受動態になると原形不定詞は to つき不定詞に
なります。
They saw him go out of the room.
→ He was seen to go out of the room.
(彼は部屋を出て行くのを見られた)
They made her clean her room.
→ She was made to clean her room.
(彼女は自分の部屋をそうじさせられた)
③ 不定詞の注意すべき用法
❶ 不定詞の否定形 not または never を不定詞の直前につけます。
She tried not to cry.
(彼女は泣くまいと努めた)
My father told me never to see her again.
(父は私に二度と彼女に会わないようにといった)
❷ 不定詞の完了形 「to have + 過去分詞」で、述語動詞よりも前の時を
表します。
Mary seems to have been sick. (マリーは病気だったようだ)
=It seems that Mary was 〔has been 〕sick.
<NOTE>
不定詞の進行形「 to be + 現在分詞 」、受動態「 to be + 過去分詞 」を用いること
もある。
He seems to be studying in his room now. 〔進行形〕
(彼は今部屋で勉強しているらしい)
You must learn to be respected by others. 〔受動態〕
(あなたは他人から尊敬されるようにならなければいけない)
❸ 代不定詞 同じ動詞のくり返しをさけるため、to 不定詞を to だけで
表す形です。
You can go out if you want to (go out).
(外出したければしていいよ)
❹ 不定詞の慣用表現
to tell the truth (本当のことをいうと),
strange to say (奇妙なことに),
to be sure (確かに),
to begin with (まずはじめに),
fail to (しそこなう),
had better〔would rather, cannot but〕+原形不定詞 (~したほうがいい、~せざるを得ない),
do nothing but + 原形不定詞 (~ばかりしている)
I would rather stay at home (than go for a walk).
(〔散歩に行くより〕家にいたい)
We cannot but respect the great musician.
(われわれはその偉大な音楽家を尊敬せずにいられない)
You had better not go out.
(君は外出しないほうがいい)
ポイント
●助動詞のあとなら原形不定詞
●動詞が知覚動詞・使役動詞なら目的語のあとは、to 不定詞ではなく原形不定詞。
S + V (see, hear, makeなど) + O + 原形不定詞
had better + 原形不定詞 (~したほうがよい) など。