24. 助動詞
「私は泳ぐ」という文に関して、次のようないい方ができます。
私は泳ぐことができる | I can swim. |
私は100m泳がなければならない | I must swim 100 meters. |
このような変化に富んだいい方を演出するのが助動詞です。
つまり、助動詞はあとの動詞にいろいろな意味を付け加えるもの!
ということです。
一般的には、助動詞のあとには動詞の原形がきますが、ほかにもいろんな使い方をするので中学で学んだ点にも注意し、助動詞の用法を学びましょう。
① can, may, must
中学校でも学んだ代表的な助動詞に can, may, must がありますね。
高校では、このほかにもいくつか新しい助動詞を学ぶんですよね。
どういう助動詞があるか、次の表で確かめておきましょう。
do [does, did] be [am, are, is, was, were] have [has, had] can [could] |
may [might] must will [would] shall [should] |
need dare ought to used to |
<NOTE>
do, be, have はふつうの動詞〔本動詞〕として用いられることも多いですが、疑問文・否定文の do, 進行形・受動態の be, 完了形の have は助動詞なんです。
ought, used はほかの助動詞とは異なり、「to+動詞の原形」を伴って助動詞として
用いられることに注意。
助動詞の性質
助動詞には、一般に次のような性質があります。
ある語が助動詞であるかそうでないかは
この性質を備えているかどうかで判断できます。
❶あとに動詞の原形がくる。「助動詞+動詞の原形」の形になる。
ただし上の<NOTE>で述べたように be, ought, used は例外。
He can swim well. (彼は上手に泳げる)
助動詞+動詞の原形
❷否定文では not をそのあとに置き、疑問文では主語の前に出る。
do [does, did] は用いない。
He cannot swim well. / Can he swim well?
助動詞+not 助動詞+主語
What can I do for you? (いらっしゃいませ、何になさいますか) 〔店員の言葉〕
疑問詞+助動詞+主語
❸ 3人称単現在でも -(e)s をつけない。また、不定詞・分詞・動名詞には
しない。
ただし、 be, have, do は例外。
You can swim well.
He can swim well. ( cans とはしない )
② can, be able to
can の基本的な意味は「~できる」(可能・能力)であります。
過去形は could [kud]。
次のような用法があります。
可能・能力 「~できる」 |
Can you speak English? Yes, I can speak it a little. (英語を話せますか。はい、少し話せます) I could not lift the box. (私はその箱を持ち上げることが出来なかった) |
推量 「〔否定文で〕~の はずがない」 「〔疑問文で〕一体 …だろうか」 |
Can the rumor be true? No, it cannot be true. (そのうわさは本当だろうか。 いや、本当であるはずがない) |
許可 「~してよい」 |
You can go home now. 〔 can = may 〕 (もう帰宅してよい) |
えんきょく表現 「~していただけますか」 |
Can [Could] you tell me the way to the hotel? (ホテルへ行く道を教えていただけませんか) ※Could ~ ほうが丁寧な表現。 |
will can のように助動詞を二つ重ねることはできません。
したがって未来の文やほかの助動詞のあとでは
can → be able to とかえます。
(✕) I will can drive a car.
(〇) I will be able to drive a car. 〔未来形〕
(私は車の運転ができるようになるだろう)
(✕) You may can see Mr. Smith.
(〇) You may be able to see Mr. Smith.
(君はスミスさんに会えるかもしれない)
<NOTE>
「~できた」という過去の肯定文では、could 同様に was [were] able to も
用いられる。
Ken was able to catch the last bus.
= Ken managed to catch the last bus.
(ケンは最終バスに間に合った)
③ may
may の基本的な意味は「~してよい」(許可) です。
過去形は might [mait]。
次のような用法があります。
許可 「~してよい」 |
May I go home now? Yes, you may. / No, you may not. (家へ帰ってもいいですか。はい、いいよ。/ いえ、いけません) |
推量 「~かもしれない」 |
It may snow this afternoon. (午後は雪が降るかもしれない) Perhaps he may not know her address. (たぶん彼は彼女の住所を知らないかもしれない) |
祈願 「~しますように」 〔祈願文で〕 |
May God bless you! (神の祝福のあらんことを) May the Queen live long! (女王様万歳) |
might は may の過去形として用いられるほかに、現在の文で次のようなえんきょくな
意味を表すんです。
「~してよい」 「~かもしれない」 「~してもよさそうな ものだ」 |
Might I ask your name? (お名前をお聞かせ願えますか) He might not tell the truth. (彼は本当をことを言わないかもしれない) You might lend me the book. 〔非難〕 (その本を貸してくれてもよいでしょうに) |
May I ~?/ may not よりも、Might I ~? / might not を用いるほうがより丁寧ないい方になります。
<NOTE>
may not と must not は、どちらも「~してはいけない」の意味であるが、
must not のほうは強い禁止を表す。
May I ~? の答えには may not を用いることが多い。
なお、 may は次の構文にも用いられます。
目的を表す so that … may
譲歩を表す however [whatever など] ~may, no matter how [whatなど] ~may
④ must, have to
must の基本的な意味は「~しなければならない」(必要・義務) です。
否定形の must not は「~してはいけない」(禁止) の意味。
次のような用法があります。
必要・義務 「~しなければならない」 |
We must keep our promise. (私達は約束を守らなければならない) Must I wear a school uniform today? No, you don't have to [need to] . (今日、制服を着なくてはいけませんか。 いいえ、その必要はありません) |
禁止 「[否定文で]~してはいけない」 |
You must not play in the street. =Don't play in the street. (通りで遊んではいけない) |
推定 「~に違いない」 |
He must be over eighty. (彼は80歳をこえているにちがいない) |
必要・義務を表す must の代わりに have to (発音は[hæftə]) を用いることが
あります。
主語が三人称単数で現在の文なら has to ([hæstə]) になる。
とくに must の過去形には had to,
未来形には will have to を用いることに注意!
I msut [have to] go there myself. 〔現在〕
(私は自分でそこにいかなければならない)
I had to go there myself. 〔過去〕
(私は自分でそこにいかなければならなかった)
I will have to go there myself 〔未来〕
(私は自分でそこにいかなければならないだろう)
<NOTE>
must not は禁止を表すので、「~するにはおよばない、~する必要がない」(不必要)
の意味には don't have to または don't need to を用いる。
混合しないように注意しよう。
I can hear you. You don't have to [need to] shout.
(聞こえるよ。叫ばなくてもいいよ)
You don't have to finish the work until the end of the week.
(週末までにその仕事を終える必要はありませんよ)
たがいに反対の意味を表す助動詞を、次の表を見て確かめておきましょう。
肯定 | 否定 |
can (~できる) be able to (~できる) may (~してよい、 ~かもしれない) must (~しなければならない、 ~にちがいない) have to (~しなければならない) |
cannot (~できない) be unable to, be not able to (~できない) may [must] not (~してはいけない) may not (~でないかもしれない) need not (~する必要はない) cannot (~はずがない) don't have to (~する必要はない) |
You may smoke here. (ここで喫煙してもよい)
You may not smoke here. (ここは禁煙です。[不許可、または軽い禁止])
You must not smoke here. (ここは禁煙です。[禁止])
You must work hard. (君は一生懸命に働かなければならない)
You need not [don't have to] work hard. (一生懸命に働く必要はない [不必要] )
His story must be true. (彼の話は本当にちがいない)
His story cannot be true. (彼の話は本当であるはずがない)
<NOTE>
be supposed to ~ もえんきょくに禁止を表す。
You are not supposed to smoke here.
(タバコはご遠慮いただいております)
●助動詞の意味は文脈によって決まる。
can 「~できる」/「[疑問文で] いったい~だろうか」
「〔否定文で〕~はずがない」
may 「~してよい」/ 「~かもしれない」
must 「~しなければならない」/ 「~にちがいない」
⑤ can, may, must の慣用表現
❶ cannot but +原形, cannot help -ing 「~せざるを得ない」の意味。
I cannot but leave Paris. (私はパリを去らざるをえない)
I could not help laughing. (私は笑わずにはいられなかった)
❷ cannot ~ too 「いくら~してもし過ぎることはない」の意味。
You cannot praise him too much. (彼をどんなにほめても褒めすぎることはない)
❸ may well ~ 「~するのももっともだ」「~だろう」の意味。
He may well be proud of his son. (彼が息子を自慢するのももっともだ)
They may well win. (彼らはたぶん勝てるだろう)
❹ may [ might ] as well ~ 「~する方がよい」の意味。
You may as well stay at home.
= You had better [should] stay at home. (君は家にいるほうがよい)
❺ may [might] as well ~ as …「…するくらいなら~するほうがましだ」
「…するのは~するのも同然だ」の意味。
I might as well starve as do such a thing.
= I would rather starve than do such a thing.
(そんなことするくらいなら飢え死にするほうがましだ)
❻ have only to ~「~しさえすればよい」の意味。
You have only to sign your name here.
= All you have to do is (to) sign your name here.
(あなたはここに署名さえすればよい)
❼ have got to~ 口語では have got = have, have got to = have to となることがある。
You have got to wash the car. (君は車を洗わなければならない)
Sorry, I've got to run now. (失礼、急いでますので)