53. 無生物主語
英語では動詞や形容詞を含む節を用いて表現する内容を、その動詞・形容詞の名詞の
形を用いて名詞中心の構文をつくることができます。
たとえば、
His mother died suddenly. に対応する
His mother' sudden death. (彼の母の突然の死)
She is able to speak several languages. に対応する
Her ability to speak several languages. (いくつもの言葉を話せる彼女の能力)
などですね。
これら節の内容を名詞中心の表現したものは、節の表すべき内容がコンパクトに名詞句
になっているわけで、文の中に主語やその他の文の要素として組み込むことができるんです。
Her mother's sudden death gave him a great shock.
We were all surprised at her ability to speak several languages.
これを名詞表現といいます。
また、日本語では人・生物とするところを、英語では無生物を主語にすることがしばしばあります。
この場合は、直訳すると不自然な日本文になるので、英語の発想法に十分慣れておくことが必要です。
Contents
① 名詞中心の表現
名詞を中心とした次のような表現が、口語でもしばしば用いられます。
日本語では、名詞を動詞または形容詞にいいかえて訳すとOK。
have [make, take など] a [an] +名詞 |
Please come and have a talk with me. (どうぞ来て、私と話をしてください) ▶have a look = look (見る) have a drink = drink (飲む) take a rest = rest (休む) |
be動詞 a [an] +-er (~する人) |
She is a good swimmer. ↳ swims well (彼女は泳ぐのが上手だ) ▶be a hard worker (= work hard) be a quick learner (= learn quickly) |
動詞・形容詞に 関連ある名詞+ of [from など]~ |
I couldn't meet her because of the late arrival of the plane. ↳ because the plane arrived late (飛行機の到着が遅れたので私は彼女に会えなかった) ▶arrival は arrive の名詞形 I was very sorry for his absence from the party. ↳ = that he was absent from the party (彼がパーティーに出られなくて、私はとても残念に思った) ▶absence は absent の名詞形 |
英語の「名詞を中心とした表現」は、その名詞を形容詞で修飾することができます。
これは節で表現された場合、動詞を副詞で修飾しなくてはならないのに比べて、
より簡潔に表現を豊かにできるという利点となります。
なお、名詞に修飾語句がつくときには、次の三つの型(名詞の型)があることに
注意しましょう。
いずれも、名詞のもとになった動詞・形容詞を考えるとわかりやすいことが多いですよ。
名詞+ 前置詞 |
He is a fluent speaker of Spanish. (彼は流ちょうにスペイン語を話す) = He speaks Spanish fluently. I'd appreciate your attendance at the meeting. (あなたが会合にご出席いただけるとありがたく存じます) I'd appreciate it if you could attend the meeting. |
名詞+ 不定詞 |
I doubt his ability to do the task. (彼にその仕事をする能力があるかどうかあやしい) I doubt if he is able to do the task. |
名詞+ 名詞節 |
There is little hope that he will recover. (彼が元気になる見込みはほとんどない) = There is little hope of his recovery. I have not idea (of) when she will marry. (私には、彼女がいつ結婚するのかわからない) = I do not know when she will marry. |
上の表の「名詞+名詞節」では、名詞と名詞節は同格です。
つまり、名詞節は前にくる名詞について説明しており、「…という〔名詞〕」の意味を
表すんです。
ポイント
●名詞中心の表現
have [take] a + 名詞 / be動詞 a +「~する人」 /
名詞+前置詞 / 名詞+不定詞 / 名詞+名詞節
② 無生物主語
「彼の無作法が彼女をおこらせた」のようないい方は、日本語としてはぎこちない感じ
がしますが、英語なら次の文はふつうです。
His rude manners made her angry.
S(無生物) V(他動詞) O(人)
無生物が他動詞の主語になる文は、直訳すると不自然な日本語になるので、
主語を原因・理由などで表す副詞的語句にいいかえて訳すといいですね。
上の例文なら
「彼が無作法なので、彼女は怒った」
(=She got angry because of his rude manners.)
とします。
無生物を主語とする他動詞には、おもに次のようなものがあります。
make, cause (~させる)
enable (~できるようにする)
compel, force (無理に~するようにする)
allow, permit (~を許す)
take (~を連れて行く)
bring, lead (~に至らせる)
prevent, keep (~することを妨げる)
keep, leave (~しておく)
show, reveal (~を示す)
save (~を省く)
cost (費用がかかる)
remind (~を思い出させる)
surprise (~を驚かす)
satisfy (~を満足させる)
please (~を喜ばせる)
など。
Standing by the heater made her sick.
(ストーブのそばに立っていたので、彼女は気分が悪くなった)
Bad weather forced us to call off the picnic.
(悪天候のために、われわれはピクニックを中止しなければならなかった)
Five minutes' walk brought me to a quiet lake.
(5分歩くと私は静かな湖に着いた)
Business prevented him from going to the concert.
(仕事があって彼は音楽会に行けなかった)
The news left me uneasy.
(その知らせで私は不安になった)
Her dress shows us her bad taste.
(彼女の服を見ると、私たちは彼女の趣味の良くないことがわかる)
This picture reminds me of my hometown.
(この写真を見ると、私は故郷の町を思い出す)
His denial of the fact surprised us greatly.
(彼がそのことを否定したので、私たちは大変驚いた)
※His denial of the fact は That he denied the fact の意味の名詞表現。
ここで「節の名詞化」ということを考えてみましょう。
(例)
「彼が成功したこと」 that he has succeeded |
⇒ | 「彼の成功」 his success と名詞化できる |
英語では名詞表現が好まれるので、この例のように節を名詞化することがしばしば。
さらに、この名詞化したものを無生物主語として用いると、英語らしい簡潔な表現ができます。
上記の His denial of the fact がその一例です。
Are you aware of the importance of this matter?
( = that this matter is important )
(このことがらの重要性にあなたは気がついていますか)
His success in the entrance examination pleased his parents.
S ( = That he succeeded in ~)
(彼が入学試験に受かって両親は喜んだ)
His discovery of oil made him a millionaire.
S ( = That he discovered oil )
(石油を発見したおかげで、彼は大金持ちになった)
※所有格 His が主語 he に、of oil が目的語 oil に対応することに注意。
ポイント
●無生物主語は、理由・時などの副詞的語句にいいかえて訳そう!
S (無生物) + V + O ~
❶目的語を主語のように訳し、❷主語(無生物)は理由・時などを
表す副詞的語句にかえて、自然な日本語にする。