45. 名詞節を導く接続詞
and, or, but などの接続詞は、
語と語、
句と句、
節と節
などを対等の関係で結びつけます。
これに対して従属接続詞は、おもな節の中に別の従属する節を組み込むときに用いられ
ます。
① 名詞節の働き
従属接続詞に導かれた従属節は、文に組み込まれるときに、名詞として組み込まれるか
副詞として組み込まれるかによって、次の二つに分けることができます。
❶ 名詞節を導く接続詞 … that, whether, if など
(主節) S+V… + (名詞節) that, whether など +S+V… |
●主節の一部として、主語・補語・目的語になる
❷ 副詞節を導く接続詞 … when, because, if など
(主節) S+V… + (副詞節) when, because, if など +S+V … |
●副詞と同じ働きをして、主節を修飾する
副詞節のほうは、主節の動詞を修飾する修飾語句になります。
これに対して、名詞節は名詞と同じ働きをするので、主語や補語・目的語として主節の
中に組み込まれることになるんです。
(例)
She is married. (彼女は結婚している)
↓ 〔thatを用いて、名詞節にする〕
that she is married (彼女が結婚していること)
↓ 〔目的語・補語として主節の中に組み込む〕
We know that she is married. (私たちは彼女が結婚していることを知っている)
名詞節 (目的語)
The problem is that she is married. (問題は彼女が結婚していることだ)
名詞節 (補語)
② that の用法
名詞節を導く接続詞として、最もよく用いられる接続詞が that です。
上記にも例を示したように、ある文の冒頭に that をつければ、その文全体を一つの
名詞と同じように扱うことができるということですね。
したがって、that の導く節は、主語や補語・目的語などになります。
また、that は、直前の名詞と同格の名詞節を導いたり、感情などを表す形容詞に続く
節を導いたりもするんです。
主語になる that … |
That he comes from India is true. 名詞節 (S) = It is true that he comes from India. 形式主語 名詞節(真主語) (彼がインド出身だということはほんとうだ) |
補語になる that… |
My opinion is that we should work harder. 名詞節 (C) (私の意見は、私たちはもっと努力すべきだということだ) |
目的語になる that… |
I expect (that) you will help me. 名詞節 (O) (私は君が助けてくれることを期待している) You promised me that you would help me. 名詞節 (DO) (君は助けてくれることを私に約束した) |
be動詞+形容詞 +that… |
She is glad ( that) you won first prize. 形容詞 名詞節 (彼女は君が一等賞を取ったことを喜んでいる) |
名詞+同格の that… |
The news that he passed the exam surprised us. 名詞 名詞節(newsと同格) (彼が試験に受かったというニュースは私たちを驚かせた) |
<NOTE>
that の導く節が主語になる場合、形式主語の It を用い、that … はうしろに移すのが
ふつうである。
また、that の導く節が第五文型の目的語の場合は、必ず形式目的語の it を用い、that
の導く節はうしろに移す。
That you can't come is a pity.
= It is a pity that you can't come.
形式主語 名詞節 (真主語)
(君が来れないことは残念だ)
We found it true that they were married.
形式目的語 名詞節 (真の目的語)
(私たちは、彼らが結婚していることは本当だとわかった)
③ if, whether の用法
名詞節を導く接続詞には、that のほかに whether, if があります。
that が「~(という)こと」の意味を表すのに対して、whether, if は「~かどうか」
の意味を表します。
whether はしばしば whether ~ or not の形で用いられますね。
He doesn't know + She can come.
→ He doesn't know that she can come. (彼は彼女が来れることを知らない)
He doesn't know + Can she come?
→ He doesn't know whether [if] she can come.
(彼は彼女が来れるかどうか知らない)
主語になる whether~ |
Whether he loved me or not is not clear. 名詞節 (S) = It is not clear whether [if] he loved me or not. 形式主語 名詞節 (真主語) (彼が私を愛していたかどうかは明らかではない) |
補語になる whether~ |
The question is whether he loved me. 名詞節 (C) (問題は彼が私を愛していたかどうかだ) |
目的語になる whether~ |
You don't know whether [if] he loved me. 名詞節 (O) (君は彼が私を愛していたかどうか知らない) |
be動詞+形容詞 +whether, if ~ |
I am not sure whether [if] he loved me or not. 名詞節 (彼が私を愛していたかどうかは確かではない) |
whether と if は同じ意味を表すが、if のほうが口語的なんです。
if が用いられるのはおもに目的語になる場合や形容詞に続く場合、形式主語 It が指す節
を導く場合などです。
副詞節を導く if (~ならば) と混同しやすいので、名詞節を導く「~かどうか」の意味では文頭には用いられません。
If it is fine, let's go swimming. (天気が良ければ、泳ぎに行こう)
副詞節
I don't know if it is true. (私はそれがほんとうかどうか知らない)
名詞節
<NOTE>
whether の導く節は前置詞の目的語や名詞と同格の節などにもなる。
We talked about whether we should go or not.
前置詞+名詞節 (私たちは行くべきかどうか話し合った)
We discussed the question (of) whether we should help them.
of がない場合、the question と同格
(私たちは彼らを助けるべきかどうかの問題を議論した)
④ 疑問詞の導く節(関節疑問)
who, what, when, where などは、接続詞ではなく疑問代名詞または疑問副詞
(まとめて疑問詞)ですが、これらの疑問詞が節を導いて文の一部になることがあります。
この節は名詞節であり、疑問文が文の中に組み込まれたものと考えられ、
関節疑問といいます。
She knows whether [if] you broke the window.
名詞節 (O) ↳ Did you break the window?
(彼女は、君が窓を割ったかどうかを知っている)
She knows why he broke the window.
名詞節 (O) ↳ Why did he break the window?
(彼女は、なぜ彼が窓を割ったのか知っている)
上の2文からわかるように、whether [if] の導く節は Yes か No で答えられる疑問文に相当していますよね。
一方、疑問詞で始まる節は、疑問詞で始まる疑問文に相当しているんです。
主語になる wh 節 |
Who bought this book is clear. 名詞節 (S) = It is clear who bought this book. (誰がこの本を買ったのかは明らかだ) |
補語になる wh 節 |
The question is where he bought this book. 名詞節 (C) (問題は、どこで彼がこの本を買ったかだ) |
目的語になる wh 節 |
We don't know why he bought this book. 名詞節 (O) (私たちは、なぜ彼がこの本を買ったか知らない) |
be動詞+形容詞 +wh 節 |
I'm not certain what he bought. 名詞節 (私は何を彼が買ったのかよく知らない) |
関節疑問 (wh節) 中の語順に注意しましょう。
上の表からわかるように、
(1)疑問詞のあとはふつうの文と同じ「S+V」の語順になる。
(2)疑問詞が主語になるときは「疑問詞 (=S)+V」の語順になる。
<NOTE>
wh節も前置詞の目的語や名詞と同格になる。
名詞と同格の関節疑問の前の前置詞 of などはしばしば省略される。
I have no idea (of) who will come to the party.
(私には、だれがパーティーに来るのかわからない)
ところで、次の2文を比べてみよう。
いずれも関節疑問ですが、答え方にちがいがあるんです。
(a) Do you know where he lives?
(彼がどこに住んでいるか知っていますか)
(b) Where do you think he lives?
(彼はどこに住んでいると思いますか)
(a)は Do で始まっているから
Yes, I do. (はい、知ってます) / No, I don't. (いえ、知りません)
で答えられますが、(b)は Yes, No では答えられません。
I think he lives in Tokyo. (彼は東京に住んでると思います)
のように答えます。
<NOTE>
次のような名詞節を含む文型にも注意しましょう。
❶ I wonder + ( if 節[whether節] / wh 節 )
「~だろうか(と思う)」の意味。
I wonder if [whether] he likes cats.
(彼はネコが好きなのだろうか [ と思う ] )
I wonder what he likes.
(彼は何が好きなのだろうか [ と思う ] )
❷ It seems [ happens, appears ] that …
この It は形式主語の It とは異なり、that の導く節に置き換えられない。
It seems that he knows a little French.
= He seems to know a little French.
(彼はフランス語が少しわかるようだ)
●名詞節を含む文型
名詞節(S)~ ( = It ~ + 名詞節 ) / S + V + 名詞節(C)
S + V + 名詞節(O) / S + V + it + C + 名詞節
S + V + 形容詞 + 名詞節 / 名詞 + 同格の名詞節