28. 名詞の用法
一口に名詞といっても、人や物事などの具体的な目に見えるものもあれば、目に見えない抽象的なものもあります。
そこで、名詞の用法を考えるときには、意味や性質の似かよったものをひとまとまりに
し、数多くある名詞をいくつかの種類に分けて見ていくことになります。
ふつう次のように五つの種類にわけることができます。
普通名詞 集合名詞 |
book, girl, student など class, family, people など |
数えられる名詞 (可算名詞) |
固有名詞 物質名詞 抽象名詞 |
Brown, Paris, America など air, butter, water など beauty, health, love など |
数えられない名詞 (不可算名詞) |
① 数えられる名詞、数えられない名詞
英語の名詞は単数と複数の区別がはっきりしていて、複数を表すときには語形が
かわります。
そのため、「数えられる名詞(C)」と「数えられない名詞(U)」の区別が大切に
なるんです。
❶ 数えられる名詞
a [an] や many などの数を表す形容詞をつけることができ、
複数形にすることができます。
辞書にC(=Countable) のマークのついた名詞。
a book - many books (booksは複数形)
❷ 数えられない名詞
a [an] をつけず、複数形にもならない。
常に単数で用い、much のような量を表す形容詞をつくることができます。
辞書にU (=Uncountable) のマークがついた名詞。
water - much water (✕) many water
<NOTE>
日本語では「一台の車」も「たくさんの車」も同じように「車」といい、単数と複数の区別をしませんよね。
したがって、数えられる名詞と数えられない名詞を分ける必要もありませんが、英語ではいつも問題になります。
一台の車 → a car
沢山の車 → many cars
② 普通名詞・集合名詞
数えられる名詞には、普通名詞と集合名詞とがあります。
名詞の大部分は普通名詞ですね。
普通 名詞 |
同種類の人や一定の 形をもった物事に 共通の名を表す |
I have a brother and a sister. (私には1人の兄と1人の姉がいる) 〔単数形〕 American taxis do not have automatic doors. 〔複数形〕 (アメリカのタクシーには自動ドアがない) |
集合 名詞 |
同種類の人は物事の 集合体を表す (例) family (家族) class (クラス) public (公衆) people (人々) team (チーム) |
He has a large family. (彼には大家族がいる) 〔単数形〕 His family are all in good health. (彼の家族は皆健康だ) 〔単数形ー複数扱い〕 There are only fifty families in the village. (その村にはたった50世帯しかない) 〔複数形〕 |
❶ 普通名詞の単数形
a brother のように必ず冠詞(a, an, the)や、my, this, that
などの語を前につけて用います。
<NOTE>
「the + 単数普通名詞」が抽象名詞を表すことがある。
種類全体の性質を抽象化したもの。
The pen is mightier than the sword. (文は武より強し)
※the pen は「文筆の力」の意味。
❷ 集合名詞の単数形
上の表の His family are ~. のように複数に扱うことがあります。
これは個々の構成員を重視する場合なんです。
ただし、people, police は単数でも常に複数扱いですね。
There were many people at the station. (駅に多くの人がいた)
The police are on their way to the scene. (警官が現場に出勤していくところだ)
<NOTE>
集合名詞の次のような用法にも注意しよう。
(a) people 「国民・民族」の意味の時には普通名詞と同じに扱う。
Germans are an industrious people.
(ドイツ人は勤勉な国民だ)
(b) furniture, baggage など 常に単数扱い。数の表し方にも注意する。
I bought much [ several pieces of ] furniture.
(私はたくさんの〔数点の〕家具を買った)
③ 固有名詞・物質名詞・抽象名詞
数えられない名詞、つまりふつうは a [an]をつけず、複数形にもしない名詞は、
固有名詞・物質名詞・抽象名詞の三つがあります。
このうち固有名詞だけは大文字で書き始めます。
固有名詞 | 特定の人・物事・ 場所などに固有の 名を表す |
Bob was born in May. (ボブは5月に生まれた) Paris is the capital of France. (パリはフランスの首都だ) |
物質名詞 | 一定の形がない 物質や材料などの 名を表す |
Oil is lighter than water. (油は水よりも軽い) She bought two bottles of beer and some wine. (彼女はビールを2本とワインをいくらか買った) |
抽象名詞 | 性質・状態・動作 など具体的な形 のないものを表す |
He has no knowledge of good and evil. (彼は善悪の判断ができない) She has much experience. (彼女は経験をつんでいる) |
物質名詞には、気体・液体(air, rain)、鉱物(iron, gold)、材料(paper, wood)、
食物(coffee, bread)、その他(money) があります。
これらの数量を表すには、次のような語句がよく用いられます。
(a) 一定量の物質名詞
容器・重さなどの計量単位を用います。
a piece of cake (ひと切れのケーキ) → two pieces of cake
a cup of coffee (1杯のコーヒー) → four cups of coffee
a bottle of wine (ひとびんのワイン)
a sheet of paper (1枚の紙)
a slice of bread (1枚の薄切りパン)
a pound of butter (1ポンドのバター)
a spoonful of salt (ひとさじの塩)
a lump of sugar (角砂糖1個)
(b) 不定量の物質名詞
some [any] water (いくらかの水)
a little snow (少しの雪)
much [a lot of ] sugar (多量の砂糖)
<NOTE>
a piece of furniture, a piece of advice などの表現もあります。
固有名詞・物質名詞・抽象名詞に a [an] をつけたり、複数形にすることがあります。
このような場合は、これらの名詞が数えられない名詞から数えられる名詞(普通名詞)に転用されているといえます。
This building is made of stone. 〔物質名詞〕
(この建物は石でできている)
He threw a stone at the dog. 〔普通名詞〕
(彼はその犬に小石を投げつけた)
Shakespeare wrote these plays. 〔固有名詞〕
(シェイクスピアがこれらの劇を書いた)
You may become a Shakespeare. 〔普通名詞〕
(君はシェイクスピアのような大詩人になるかもしれない)
She helped us out of kindness. 〔抽象名詞〕
(彼女は親切心から私達を助けてくれた)
She showed us many kindnesses. 〔普通名詞〕
(彼女は私達にいろいろ親切にしてくれた)
※kindness (es) は一つ一つの「親切な行為」の意味。
<NOTE>
抽象名詞と物質名詞の以下の点に注意です。
❶「of + 抽象名詞」は形容詞、
「with + 抽象名詞」は副詞として働く。
He is a man of ability ( =an able man ). (彼は才能のある人間だ)
You must drive with care ( =carefully ). (君は注意して運転すべきだ)
❷特別な意味を表す場合、物質名詞を複数形で表すことがある。
Still waters run deep. (静かな流れは深い = 能ある鷹は爪を隠す)
waters は「多量の水(のあるところ:海、湖、川など)」の意味。
●ポイント
固有・物質・抽象名詞にはふつう複数形なし、a [an]もつけない。
普通名詞 / 集合名詞 〔個々を重視するときは複数扱い〕
固有名詞 / 物質名詞 / 抽象名詞