20. 動名詞
「 動詞の原形 + ing 」の形が名詞と同じ働きをして、主語・補語・目的語になるものを
動名詞といいます。
現在分詞と同形ではありますが、意味・用法にちがいがあるんです。
動名詞と名詞的用法の不定詞はともに「~すること、~であること」の意味となります。
動詞によって目的語に動名詞を用いるか、不定詞を用いるかが決まっているものもあるので注意すること。
ここでは、動名詞の用法を分詞や不定詞と比較しながら学びましょう。
① 主語・補語・目的語になる動名詞
動名詞は、名詞と同じ働きをして主語・補語・目的語になります。
単独で用いることもありますが、ふつうはあとに目的語・補語や修飾語句を伴うことに注意しましょう。
主語になる 動名詞 |
Reading in the dark harms the eyes. 主語 (暗がりでものを読むことは目を痛める) |
補語になる 動名詞 |
His hobby is collecting stamps. 補語 (彼の趣味は切手を収集することだ) |
目的語になる 動名詞 |
I hate telling a lie. 目的語 (私はうそをつくことが嫌いだ) |
<NOTE>
「 動名詞 + 目的語 (補語・修飾語句) 」が主語や目的語になるときは、長くなるので
形式主語の It や 形式目的語の it を用いて動名詞を文尾に回すこともある。
It is no use crying over spilt milk. (こぼれたミルクを嘆いても仕方ない)
形式主語 真主語(動名詞句)
Did you find it pleasant playing computer games all day?
形式目的語 真目的語
(一日中ゲームをしていて楽しかった?)
② 前置詞の目的語;完了形・受動態
動名詞は、動詞の目的語になるだけでなく、前置詞の目的語としてもしばしば用いられます。
be fond of -ing などのいい方を覚えましょう。
動詞(~) + 前置詞 + ‐ing |
Emily thought of visiting the museum. (エミリーはその博物館をたずねることを思いついた) Thank you for helping me. (私の手伝いをしてくれてありがとう) |
形容詞・名詞 + 前置詞 + -ing |
She is fond of painting pictures. (彼女は絵を描くのが好きだ) There was little hope of reaching India. (インドに着ける見込みはほとんどなかった) |
動名詞は前置詞の目的語になるが、不定詞は前置詞の目的語にはならないことに注意。
(×) She is fond of to paint pictures.
動名詞には、
(a)完了形「having + 過去分詞」
(b)受動態「being + 過去分詞」
があります。
完了形は、述語動詞の時制よりも前の時の動作や状態を表します。
動名詞の完了形 | He is ashamed of having been late for school. (彼は学校に遅れたことを恥じている) |
動名詞の受動態 | The man escaped being hurt in the car accident. (その男は自動車事故でけがをしないで済んだ) |
上の表の完了形の例文を節に書きかえると次のようになります。
→ He is ashamed that he was late for school.
The boy denied having stolen the money.
→ The boy denied that he had stolen the money.
(その少年はお金を盗んだことを否定した)
<NOTE>
a sleeping car = a car for sleeping (寝台車) のように、「 動名詞 + 名詞 」の形の表現にも注意しましょう。
これは動名詞の形容詞的用法ですね。
a walking stick (ステッキ)
=a stick for walking
a smoking room (喫煙室)
=a room for smoking
③ 動名詞の意味上の主語
動名詞の意味上の主語は文の主語と一致することが多いんですが、とくに示す必要のあることもあります。
次の二文を比べてみましょう。
❶ He never dreamed of becoming a millionaire.
(彼は百万長者になるとは夢にも思わなかった)
=He never dreamed that he would become a millionaire.
❷ He never dreamed of his son becoming a millionaire.
(彼は息子が百万長者になるとは夢にも思わなかった)
=He never dreamed that his son would become a millionaire.
動名詞 becoming の意味上の主語は、❶では文の主語 He と同じなのでそれは不要。
それに対して、❷はとくに his son を動名詞の前において、その意味上の主語を示しています。
また、Smoking is bad for your health. (喫煙は健康に害がある) のように、意味上の主語が一般の人であるときはそれを示しません。
動名詞の意味上の主語は、次のように名詞・代名詞の所有格または目的格を動名詞の前につけて示すんですね。
名詞は目的格のほうが多いです。
代名詞(所有格 ・目的格)+動名詞 |
My parents don't like ( my / me ) going out alone. 意味上の主語+動名詞 (両親は私が一人で外出するのを好まない) |
名詞(主に目的格) +動名詞 |
An accident prevented John('s) coming. 意味上の主語+動名詞 (事故のためにジョンは来ることができなかった) |
上の表の John's coming のように、名詞の所有格を用いるのは、「人」の場合のみ。
無生物の名詞ならば目的格にします。
I am sure of your team winning the game.
(君のチームはきっと試合に勝つと思う) 〔無生物の名詞の目的格〕
ポイント
動名詞は名詞と同じ働きをする。
動名詞の用法……①主語・補語・目的語になる
②前置詞の目的語になる
③形容詞的用法(動名詞+名詞)
動名詞の意味上の主語……(代)名詞の所有格か目的格